優秀な人材を確保できている企業が実践している内容を分析すると、以下の3つのポイントが見えてくる。これらは相反する要素があるので、全てを実現できるものではない。企業の特性にあわせて以下のポイントのいずれかを取り入れることで、若い働き手にアピールできるはずだ。
1 「働きがい改革」への取り組み
働き方改革で労働参加率をあげるのと同時に、働きがい改革による労働生産性の向上を図る。市場環境や労働環境が大きく変わる中で、働きがいを上げるには変化に合わせて柔軟に対応できる「運動神経」が必要だ。
例えば、コロナ禍で企業活動にさまざまな影響が出たなかで、同じ業界の企業でもOpenWorkに投稿される評価スコアに大きな違いが出た。投稿されたクチコミを見ると、緊急事態宣言が発出されてすぐにテレワークを導入した企業や飛沫防止のシートを他店に先駆けて取り入れたスーパーなど、環境変化に対応し従業員の健康に配慮した企業は評価を高めた。
一方で、そうではない企業は評価を下げた。働きがいの低い会社の特徴として、社員クチコミのなかに「年功序列」「旧態依然」「アナログ」といったキーワードが多いことが挙げられる。環境変化にあわせて古い体質を変える勇気が必要だ。
2 自社の強みを言語化し、正しく伝える
経営資源は有限であり、それゆえに全従業員の要望に応えられる企業は稀だ。そのなかで自社が何を提供できる会社なのか、強みを見極め、尖らせ、その強みを軸に経営や採用をすることが求められる。「報酬」「成長環境」「風通しの良さ」など自社の特性を見極めて尖らせることが必要になってくる。
3 相互拘束から相互選択へ
終身雇用が機能していた時代は、個人のキャリアを会社に預け、会社が個人のキャリア形成を支援するという前提があった。それはお互いが拘束しあう関係ともいえる。しかし、先の見通しが立ちにくい時代、一つの会社が一人のキャリアに責任を持つ難易度が上がっている。
これからの時代は、常に個人も企業もお互いが選び合うようなフラットな関係を前提にした経営が求められるのではないだろうか。企業としては、人材といった無形資産の価値向上により、個人のキャリアにも企業価値向上にもつながる「人的資本経営」を志す必要がある。
働き方改革によって長時間労働問題にメスが入れられたことは、今後の日本社会にとってポジティブな変化だ。しかし何かの施策が機能すれば、その反面失われるものもある。働き方改革関連法案の施行から3年が経った今、その失われたものを考察し、手当てをしていくことが求められているのではないだろうか。
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