クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

新型エクストレイル 改革最終年に臨む日産(前編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

» 2022年09月12日 11時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

何としても成功しなければならないエクストレイル

 さて、内田誠社長の就任以来、その選択と集中を担うプロダクトはどう推移してきたかをを振り返ると概ね以下のようになる。

  • 販売的に見て成功
    • ノート
    • ノート・オーラ
  • 部品不足で生産ができず販売には貢献できず
    • アリア
    • キックス
  • 販売的に大成功
    • サクラ
  • 最初からイメージリーダーであり販売利益は期待されていない
    • フェアレディZ

 ということで、日産としても予期せぬ部品不足で出鼻をくじかれた思いは強いだろう。ただし、ここは捉え方次第で印象が変わる。BEVで成功しているのは結局サクラだけ。アリアとキックスは、無事に生産できていたらどうだったのかは今さら分からないが、どうやら発注がいっぱいあるにもかかわらず納車できないという様子には見えず、将来的にはともかく、BEVは直近数年では主戦力としてはあまり当てにできないという見方もできる。

軽BEVとう新領域で幸先の良いスタートを切ったサクラ

 日産は初代リーフを出して以来、BEVに積極的なメーカーでもあるが、同時に初代リーフのビジネス的失敗を経験し、BEVだけでなく、e-POWERによるシリーズハイブリッドと並立させるマルチソリューション化も進めている。

 現状ではBEVは近未来に向けて必要な投資であり、それを避けて通るわけにはいかないが、とはいえ今日も明日も社員を食わせていかなくてはならない。目の前の食い扶持を確実に稼ぎ出すことこそが、e-POWER搭載車両群に課せられた使命である。

 なので「Nissan NEXT」が終了する23年度までに、日産がリリースするe-POWERは外れが許されない。BEVについてはできれば半分くらいは成功させたい。それがこの改革の成否をわけるといっても過言ではない。

 ということで、エクストレイルとその北米バージョンとしてのローグは、何としても成功しなければならない。極めて大事な局面に投入される1台である。

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