世界有数のエンターテインメント企業、ウォルト・ディズニー・カンパニーが、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)の市場を拡大しようとしている。
その代表的な動きが、ディズニーが手掛ける動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」だ。日本国内では2020年にサービスを開始。歴代のディズニー作品や、ディズニーのブランドであるピクサーやマーベル、スター・ウォーズの作品をインターネットやアプリで視聴できるのが特徴だ。
21年からはディズニープラス内に幅広いエンターテインメント作品をラインアップする「STAR(スター)」というブランドを新設。日本・韓国・インドネシアをはじめとするアジア各国の現地制作会社と協働し、日本のドラマやアニメ、韓流ドラマをはじめ、アジア現地向けのオリジナルコンテンツの制作にも乗り出している。
11月には、「ディズニー・コンテンツ・ショーケース2022」をシンガポールで開催した。日本企業との取り組みとして、講談社との戦略的協業の拡大を発表している。多くの人気マンガ作品の権利を持つ大手出版社と連携することで、日本のみならず世界の市場に向けたアニメ作品の制作や配信を円滑に進めるのが狙いだ。
12月10日には、16日から全国で上映している『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の公開を前に、ジェームズ・キャメロン監督をはじめとする映画主要スタッフが来日。都内でイベントを開いた。
このように、ディズニーはいま、日本市場でのビジネス拡大に積極的に取り組んでいる。なぜ、ディズニーは日本をはじめとするAPACの市場開拓に注力しようとしているのか。
ウォルト・ディズニー・カンパニーでAPACを統括するルーク・カン氏に話を聞いた。
――ディズニーにとって、日本や韓国や中国、東南アジアやオセアニア、オーストラリアやニュージーランドを含めたアジア太平洋地域というのは、どんな市場なのでしょうか。
カン: 私たちはAPACの存在について、非常に重要だと考えています。コンテンツでいうと、やはり消費者はローカルやAPAC地域の作品を求めています。日本をはじめ各国には多くの優れたクリエイターがいますし、現に一般的にAPACにおける動画コンテンツの9割は、現地で制作されたものが視聴されているといわれています。
21年10月に「スター」ブランドを発表して以降、この1年間でAPACから45以上の新しい作品が登場しました。それに伴い、21年の1年間で、ディズニープラスにおけるアジアのコンテンツの総ストリーミング時間は8倍に増えました。
――日本国内のコンテンツだと、既にTBSや日本テレビなどと提携し『下町ロケット』や『逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)』の配信もディズニープラスで始まっています。こういった配信コンテンツはどのように決めているのでしょうか。
カン: 作品選びについては非常に選択を厳しくしております。まず地域の特性にそのコンテンツが合っているかどうかを熟慮していて、その地域の消費者の方がどういうものを求めているかを常に意識しています。
もう一つディズニーとして大切にしているのは、ストーリーテリングですね。人々を興奮させ、感動させられる物語がそこにあるかどうかも重要視しています。
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