――確かに米国と欧州の違いに比べると、特にアジア地域では独自色の強いコンテンツが地元で愛されている気がします。
カン: これは言い換えれば各国に非常に優れたクリエイターが存在しているということでもあります。ですから、特にAPACでは、私たちのコンテンツをどう各国で広めるかというアプローチだけではなく、現地の優秀なクリエイターや知的財産を活用して、一緒に手を結んで制作していく動きも大事になってきます。
――その現れが、TBSや日本テレビといったテレビ局、そして講談社といった出版社との提携になるわけですね。
カン: 私たちはそれぞれの地域において、自分たちにも価値があると思うようなストーリーテリングのあるコンテンツを現地のクリエイターと共に制作し、こうしたストーリーを国内だけでなく、ディズニープラスを通じて今度は世界にも広げていくのがミッションになります。
――ディズニーは米国だけでなく、世界各国の優れた作品を開拓し、現地の優秀なクリエイターと共に、世界にその魅力を発信していこうとしているわけですね。
カン: 各地域それぞれのマーケットで、私どもが学べるものは多くあります。そして各国の魅力あるストーリーを、ディズニーというブランドを通じて世界にも発信していくことが可能です。特に日本では、独自の非常に深いストーリーテリングの歴史があり、既に世界でも高い人気を博しています。
他のアジア太平洋地域でも同様に、現地の優れたコンテンツやクリエイターと協働し、世界に広げていければと考えています。
――この1年間、ディズニープラスの会員数が世界的に1440万人増え、対照的にNetflixは会員数を減らしたことから、国内でも「ディズニープラスがNetflixから会員数を奪っている」とみる人もいます。ディズニープラスの成果をどう評価していますか?
カン: APACにおいても、ディズニープラスは私たちが思っていた以上に非常に強いパフォーマンスを見せていました。
ディズニーは、APACでは何十年も活動しているのですが、ディズニープラスに限って言えば、まだ始まったばかりです。
日本では3年前の19年11月から動画配信サービスを展開しているのですが、これは例外的に古いと言っても過言ではなく、韓国では1年前、フィリピンに至っては11月にディズニープラスを始めたばかりになります。日本でもスターの提供を開始したのは21年です。
ですので、APACでの成果はまだまだこれからといった感じですね。ただ、この短期間でも成果をあげられたことを非常にうれしく思っております。また、現地のテレビ局や出版社、制作会社と新たな取り組みをすることによって、その過程全てで消費者にも触れられることはとても貴重な機会になっています。そしてこの一連のエコシステムは私たちにとって「フライホイール(弾み車)」になっています。
こうした取り組みを私たちは「ディズニー・ディファレンス」、ディズニーだからできることとして今後も続けていきたいところです。
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