新時代セールスの教科書

リードの40%が商談化!? 米国式インサイドセールス「BDR」の実力とは(2/3 ページ)

» 2023年11月09日 08時00分 公開

BDRの種類と業務内容

 BDRには、過去に取引実績のない企業への「新規開拓営業」のほか、すでに取引のある顧客の別部門へ向けた「組織深耕営業」と、大きく2つが存在します。

新規開拓営業

 自社の事業戦略からターゲットとする顧客を選定し、潜在顧客に対して、電話やメール、SNSなどを駆使して初回の連絡を取ります。顧客の課題をヒアリングし、その顧客に合った提案をすることで信頼を積み重ね、契約につなげていきます。

 取引金額が大きいほど、意思決定者の役職層が高くなるため、マーケティングコンテンツに直接触れる時間にも限りがあります。そのため、自社の製品やサービスがいかに企業の課題解決に貢献するのかを、“相手に響く言葉”で伝えられるBDRからの直接的なアプローチは、無から商談機会を生むうえで有効になります。

組織深耕営業

 「顧客開拓」と聞くと、まだ取引をしていない相手のもとを訪れて、新たに契約を結ぼうとする活動をイメージされる方も多いかと思います。しかし、既に取引のある企業の別部門に潜在的なビジネス機会を見いだし、開拓していく場合もあります。組織深耕営業もその1つです。

 エンタープライズ企業との契約では、他部署への横展開、事業部内でのアカウントの拡大といったビジネスチャンスがあります。また、もし一部の部門で契約に至らなかった場合にも、複数部門を開拓することで契約に至る確率を上げることが可能です。これが、ABM戦略とBDRによる活動を採用するメリットの一つでもあります。

高難易度のBDR 必要なスキルは……?

 新規開拓と組織深耕営業を行うBDRは、ターゲット選定からアプローチ、商談の実施や各部門の連携など業務範囲が多岐にわたります。

  • ターゲット企業の選定とリストアップ
  • 電話、メール、SNS、イベントなどさまざまなアプローチを通じた商談機会の創出
  • ターゲット企業の公開情報の読み取りと課題把握
  • フィールドセールスへの適切な情報提供・顧客インサイドフィードバック
  • マーケティングチームと連動した各種企画のドライブ

 異なる立場のさまざまな見込み客と関わるBDRには、顧客のニーズ・課題を適切に聞き出すヒアリング力はもちろん、成功事例や他社との違い、顧客の不安を取り除くための知識など、複合的な知見をベースとした総合的なソリューション営業のスキルが求められます。

 また、アプローチの際に重要になるのが「仮説構築力」です。顧客を立体感を持って捉えるために、会社の沿革や、組織構成、中長期目標などあらゆる情報をもとに仮説を立て、誰に、いつ、何をするのかを具体化して実行していきます。

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