改革期を経て、定着期を任された採用担当者が小野寺惟文氏(現・経営企画部 中期経営戦略推進室)だ。伊藤氏・五十嵐氏のもとで活動していたダブルワーカーの1人で、インターンの中でリーダーシップを発揮し、社内からの信頼も厚かったことから、2人が後任として熱望していた。
「前任の2人は強い影響力がありました。当時、『これを引き継ぐのが自分か』という高揚感を覚えました」と小野寺氏は振り返る。
しかし、半年も経たずに同氏は壁にぶつかることになる。前任者のやり方を引き継いだものの、学生の反応に手ごたえが感じられなくなっていたのだ。実際、前年まで90%台後半を維持していたインターンやイベントの満足度は軒並み下がり、80%台まで落ち込むこともあった。前任者が自身の経験を踏まえて学生に語っていたことを、小野寺氏も引き継いで話していた。しかし、自分自身の経験に裏打ちされた言葉ではなかったため、学生には響かなかったのだ。
「自分が経験していないことについて語っても、学生には全く響きませんでした」(小野寺氏)
そこで同氏は「スキルや経験に依存しないシステムをつくる」方針にかじを切った。採用担当者はおよそ2年ごとに替わるからこそ、誰が担当になっても質を保てる仕組みがなければ、改革は途切れてしまう。影響力のあるトップが統率する運営から、組織として持続可能な運営へ。この転換が定着期のテーマとなった。
そこから小野寺氏は、採用担当者が現場を引っ張るのではなく、ダブルワーカーが主体的に運営に関わる体制の構築に取り掛かった。前任者の時代はダブルワーカーを「お願いして集める」形だったが、ダブルワーカーが自発的に「関わりたい」と思える環境を目指した。
インターンや採用イベントごとに、ダブルワーカー全員に「実施して効果的だったことや逆に良くなかったこと」を書いてもらい、全て読み込み、反映することにした。
「2年目の若手が『オペレーションのここがダメだと思います』と書いてくるんですよ。そういった正直な声を全て読んで、一つずつ反映させていきました」(小野寺氏)
その積み重ねが「この採用活動のプロジェクトでは、年次や役職にとらわれず思ったことを発信していい」というカルチャーを生んだ。小野寺氏の着任から1年が経つ頃には、ダブルワーカーが中心となってインターンやイベント企画を発案するようになっていた。採用担当者だけでなくダブルワーカー自らが考え、行動し、プロジェクトを成長させるサイクルが少しずつ出来上がっていった。
一方で、多くの意見や相談が採用担当者に集中することで、判断や調整を1人で抱え込んでしまうという問題が新たに生まれた。小野寺氏自身も、採用担当者ならではの孤独を感じていたという。そこで、ダブルワーカーの中から経験の長いメンバーを「サポーター」として任命し、採用担当者とダブルワーカーをつなぐ役割を担ってもらった。
サポーターがダブルワーカーの相談役となり、採用担当者と現場の橋渡しを担ったことで、組織の風通しはさらに良くなっていった。
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