育成への投資は、やがて組織の自走につながった。2024年のインターンシップでは、田邉氏が主導しなくても運営できる状態が実現した。インターン設計のキックオフの場で、採用担当者として思いを込めたメッセージを発信することで、ダブルワーカーがインターンのコンテンツ設計や会議のファシリテーションまで率先して行うようになったのだ。
「マネジャーとして、見守り、支援することだけを考えられる状態になった」と同氏は振り返る。
その状態を支えているのが、組織の心理的安全性の高さだ。田邉氏はダブルワーカーと頻繁に1on1を重ね、「君たちのことは絶対に見捨てない。何でも相談して」と言い続けてきた。さらに、2〜3カ月に一度は自身の考えをダブルワーカーに直接伝える場を設けた。
インターンの内容に限らず、ダブルワーカーの本業やキャリアの相談にも積極的に乗った。「『田邉さんなら何とかしてくれる』という信頼が、ダブルワーカーのモチベーションを支えていたと思います」と、前任者として見守ってきた小野寺氏は話す。
先人たちが築いてきた仕組みを生かし、田邉氏は採用目標数を達成した。一方で、同氏は次の世代への懸念も口にした。「思いを持った人に引き継げなければ、1年で崩れる可能性もあると思います」。ダブルワーカーには思いが伝わっているが、次の採用担当者にその熱量や価値観をどう受け継いでいくかが課題だという。
次世代の採用を見据えた準備として、田邉氏は現在、インターンシップの再設計に取り組んでいる。これまで理系学生を主な対象としてきた内容を見直し、文理を問わず参加しやすい形へ広げていく構想だ。「会社の変化に合わせて、採用のあり方も柔軟に変えていく必要があります」と田邉氏は話す。
担当者が替わるたびに、それまで積み上げてきたノウハウや熱量、現場との連携体制が途切れてしまう――かつての課題は、5年間を経て少しずつ乗り越えられつつある。その土台の上で、NTT東日本の採用は次のフェーズに移ろうとしている。
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