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未来からやってきた2012年型の快適全部入り――サイバーショット「DSC-TX300V」(3/4 ページ)

» 2012年02月24日 17時12分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 起動は2〜3秒待たされる感じがあるけれども、そのあとは極めて快適。撮像素子は1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサーでとうとう1800万画素に。画質を仔細に見ると、ここまで画素数を上げる意味がどこにあるのか考えちゃうけど。レンズは35ミリ換算26〜130ミリ相当の5倍ズーム。明るさもF3.5〜4.8と屈曲光学系にしてはがんばってる。

photo メカニカルなスイッチは電源とシャッターと角にあるズームレバーのみという思い切ったデザイン

 ISO感度は最高ISO12800まであがった。ここが2012年型サイバーショットのミソで、撮像素子が高感度になったわけじゃない。ISO6400からはISO3200までとは別の処理をしてるのである。まず、4画素を混合したサイズの小さな画像を生成する。その分ノイズが減る。さらに連写して合成する。これでさらにノイズを減らす。そして最後にフルサイズに超解像技術を使って復元するという仕組みだ。

 確かにISO12800でも明るくてノイズの少ない写真を撮れる。これはすごい。ディテールが不自然につぶれててのっぺりした絵になってるけれども、超高感度で撮れるのは確かで、いざというときには使える。でも普段は自分でISO感度を設定する必要はないだろう。

photophoto MENUキーを押すと細かい設定が。注目はMENUの2ページ目に用意されているGPSログ記録(開始と終了を行う)とパソコン保存(無線LANを使って写真をパソコンに転送する。パソコン側にPlay Memories Homeが必要)だ(写真=左)、ISO感度はとうとうフルサイズのままISO12800まで設定できるようになった(写真=右)

 「プレミアムおまかせオート」なら、シーン自動認識オートが働き、さらに必要に応じてHDRがかかったり、連写して合成することでノイズを減らしたりと、ソニー得意の「連写+合成」が自動的にかかるからだ。これはとてもいい。被写体が動いていても合成時にずれたりしないので安心して使える(たぶん、動体を検出したらそこだけ合成しないなどの処理をしているのだろう)。

 そのときも「マイフォトスタイル」を使えば露出補正やピクチャーエフェクトなども可能なので、たいていのケースはこのモードでまかなえるのだ。可能な限りフルオートのままで済むようにするのはコンデジとしてとても正しい道だと思う。

 操作は全面タッチパネル。本体には電源とシャッター、そしてズームレバーしかない。タッチパネルは静電容量式で感度もよく、ユーザーインタフェースもiPhoneやよくできたAndroid機にはかなわないが、タッチパネル式デジカメの中ではシンプルで使いやすい。もちろんタッチフォーカスも使える。動画はフルHD動画対応で、AVCHDかMP4かを選べる。

photo 背面は全面タッチパネル。右にはディスプレイ表示のオンオフ、モードボタン、再生ボタンが。左にはメニューの下に4つのボタンが並ぶ。左の4つはカスタマイズ可能だ。左の下から2番目がマイフォトスタイル
photophotophoto 撮影モードは1画面に収まっている(写真=左)、カスタマイズは画面に置きたい機能アイコンを左側にドラッグすればOK(写真=中)、マイフォトスタイルをオンにすると、明るさ、色合い(WB)、鮮やかさ、そしてピクチャーエフェクトをそれぞれかけられるので、プレミアムオートのままでも絵作りや調整が可能になる(写真=右)

 つまるところ、TX-300Vは撮影時はカメラ任せでときどきタッチフォーカスでピント位置を指定したりしてやるだけでよく、充電は台に置くだけで面倒がなく、外ではバッテリがやばくなったらmicroUSB端子を使って充電可能(自己責任で)だし、無線LANでスマートフォンに転送できるし、GPSログも撮れるし、防水仕様だし、帰宅してパソコンに転送するときもTransferJetなので置くだけと超快適という楽しいコンデジなのだ。

 コンデジの今後を占う面白い製品に仕上がってると思う。薄いボディにあれこれ詰めこみすぎたせいかイマドキのコンデジとしては価格が高めだけど(推定市場価格は4万5000円くらいか)、一度使うと他のデジカメが面倒に感じる快適さがある。

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