正直にいうと、最初このカメラを見たとき、OM-D(E-M5のほうね)に似せたコンデジが出たんだなあ、としか思いませんでした。すみません、ちょっとあなどってました。いざ使ってみると、想像以上に楽しく撮れるよいカメラでした。
というわけで、オリンパスの「STYLUS 1」である。新しい名前なので、製品名だけではどんな位置づけのカメラか分かりにくいが、見た目は「ミニOM-D」、系統は高級コンパクト「STYLUS XZ-2」(製品レビューはこちら)の上位モデルとなる。
XZ-2を一口でいえば、多少大きくて高価だけれども、1/1.7型センサーに高性能で明るいレンズを搭載し、ボタンやダイヤルを駆使した操作系と拡張性を持つカメラ。STYLUS 1はそれを拡張し、高倍率でF2.8通しというすごいレンズを搭載し、EVFを内蔵し、おそらくは中味も一新し、さらにいろんなところをブラッシュアップしている。
ハイエンドコンデジの最上位モデルである。
外観は確かにミニOM-Dで、パンケーキレンズをつけたOM-Dをちょっとコンパクトにした感じ。ぴょこんと飛び出たトンガリ頭にはEVFとアクセサリシュー。EVFはE-M5並で、大きくて明るくて見やすい。少なくともコンデジのEVFとしては最高レベルといっていいだろう。EVFが光軸上にあるので、構えたときの感覚もすごく自然で撮りやすい。
その下にある液晶モニタは3インチのチルト式でタッチパネル付。といっても普段の操作はボタン+ダイヤルで行い、タッチパネルは再生時やタッチAF時に主に活躍するという感じだ。
細かい工夫だが、モニタがチルトしているときにはEVFへの自動切り替えが働かないのもよい。カメラによってはモニタをチルトさせてお腹のあたりで構えると、身体がアイセンサーをふさぐ形になってEVFに切り替わっちゃうカメラもあるからね。
サイズはコンデジとしては大きめで撮影時重量も約400グラムある。だが、スペックを考えるとおそろしくコンパクトだ。なにしろ、普段は完全に沈胴しているのでそうとは見えない10.1倍ズームのレンズは、28-300ミリ相当の高倍率で明るさは全域でF2.8なのだ。テレ端で明るいのは何かと使いやすく、EVFをのぞいてしっかり構えれば、テレ端でもかなり気軽に使える。
高倍率で全域F2.8のカメラというと、ソニー「DSC-RX10」やパナソニック「DMC-FZ200」のように、レンズ部が大きな「ネオ一眼」っぽいスタイルばかりだったが、STYLUS 1はレンズがぐっと沈胴するので携帯性が抜群に高い。そこが画期的である。
撮影最短距離はワイド端で10センチ、テレ端で80センチから。300ミリ相当でレンズ前80センチというのは悪くない値。さらにスーパーマクロモードにすると焦点距離は42ミリ相当固定となるがレンズ前5センチまで寄れる。十分に実用レベルだ。
レンズカバーは内蔵しないが、自動開閉式のレンズキャップが付属する。XZ-1/XZ-2では別売りだったが、STYLUS 1で同梱品となった。開閉する都合上、完全にホコリなどを防げるわけじゃないが、レンズキャップの着脱の手間はなくなるしレンズの保護にはなるし、レンズが出てくる様子がギミックとして面白い。
撮像素子は1/1.7インチで有効1219万画素の裏面照射型CMOSセンサーとハイエンド機の標準的なもの。RX10の1インチ(有効2020万画素)に比べるとセンサーサイズは小さいが、同等クラスではかなりしっかりした写りで解像感も高く、普及型コンデジとは一線を画するレベルだ。
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