顧客は単一のアーキテクチャのすばらしさを必ず分かってくれる――CognosのアッシュCEOInterview(2/2 ページ)

» 2005年10月21日 22時18分 公開
[聞き手:栗原潔,ITmedia]
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ITmedia Cognos 8に話を移しますが、あらゆる機能が統合されたとてもすばらしい製品だと感じます。しかし、最近ではコグノスの競合他社も同じような統合BIプラットフォームの発表をしていますね。これについて何かコメントはありますか?

アッシュ 競合他社の製品に直接コメントすることは避けますが、Cognosのアプローチがユニークであるという点は強調したいです。あなたは、先ほど「統合」という言葉を使いましたが、それはあまり正確ではありません。Cognos 8は最初から単一の製品として作られているからです。アーキテクチャも検索エンジンも、メタデータ管理もすべて単一です。複数製品を統合して作られたのではありません。お客様にはこの違いを分かっていただけるはずです。

ITmedia 話は変わって、最近日本企業では経営ダッシュボードを採用しているところが増えてきていますが、どうも有効に活用できていないケースも見られます。何か成功の秘訣というようなものはないでしょうか?

アッシュ いくつかの点からコメントできます。第一に言えることは、過去における経営ダッシュボードのテクノロジーはその作成や変更にかなりの人手を要していたということです。この問題はテクノロジーの進化によりほぼ解決されました。

 もう1つの課題は、どのようなパフォーマンス指標を採用すればいいのかという点です。これは非常に難しい課題であり、その点では日本企業も欧米企業も変わりはないでしょう。この課題にアプローチするひとつの方法として、「ラピッド・ダッシュボード」を提案します。

 つまり、できるだけ早期にダッシュボードを実装して、使いながら段階的に改良していくということです。テクノロジーの進化により、ダッシュボードの作成や更新が容易で迅速になったため、このようなアプローチが有効になったわけです。

ITmedia 市場の動向についてみてみると、今のソフトウェア業界ではM&Aが活発に行われています。これについて何かコメントはありますでしょうか?

アッシュ この動向は今後も続くでしょう。しかし、BI市場というものが他分野に吸収されてなくなるということは考えられません。BIには非常に大きなコア・バリューがあるので、BI専業ベンダーは今後も残っていくでしょう。

ITmedia OracleはM&Aに対してきわめて積極的ですが、コグノスはそのようなやり方は取らないのでしょうか?

アッシュ OracleとCognosは置かれている市場が違います。オラクルの主要ビジネスであるデータベース市場は既に成熟しています。つまり、成長のためにはM&Aをせざるを得ない状況です。しかし、BI市場はまだ成長段階にありますので、市場とともに成長することで十分目標は達成できるのです。もちろん、お客様にとっての価値を向上できる戦略的なM&Aであれば常に検討しています。

ITmedia 個人的な質問になってしまったら申し訳ありませんが、前回、来日された時は成田空港からハイヤーも使わず自分で成田エキスプレスの切符を買って東京まで来られたと聞いたのですが、こういう節約主義はアッシュさんの個人的性格でしょうか。それとも、Cognosの企業文化でしょうか?

アッシュ (笑)個人的性格もありますが、コグノスの企業文化かもしれません。私は21年間コグノスに勤めているので企業文化が染み付いているとも考えられます。つまり、「コスト意識と利便性」を追求するということです。成田からは電車で来るのがいちばん速いですからね。それだけのことです。

ITmedia では、最後に日本の企業の皆様にメッセージがあればお願いします。

アッシュ 今がまさにBI導入のときであることを強調します。グローバルな競合、特に中国との競合が強まっています。このような環境で競争優位を維持していくためには、BIが重要な要素になるのです。多くの欧米企業が1990年代後半から2000年にかけて、BI導入によって競争力を確保したように、日本企業は今アクションを起こすべきなのです。



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