米国サンフランシスコで開催中のJavaOneでは、3Dに関するセッションが活況を呈している。Java 3D、JOGL、Project Looking Glassの現状についてリポートする。
米国サンフランシスコで開催中の「2006 JavaOne Conference」では、Java 3D、JOGL (Java Bindings for OpenGL)、Project Looking Glassなどの3Dに関連するセッションが活況である。
Java 3Dは高レベルの3Dグラフィックライブラリであり、シーングラフと呼ばれるグラフ構造を用いることが特徴となっている。現在リリースされているバージョン1.4ではシェーダーがサポートされており、バンプマッピングなどの効果が可能になった。シェーダーにはOpenGLのシェーダー言語であるGLSLが使用できる。
また、開発中のバージョン1.5では後述するJOGLとの統合が図られている。これ以外にも、New I/Oライブラリを使用した高速化や、NVIDIAのシェーダー言語であるCgのサポートなどが予定されている。
Java 3Dが高レベルのライブラリであるのに対し、低レベルのライブラリとしてJOGLがある。JOGLはJavaからOpenGLを使用するためのライブラリであり、JSR-231で仕様が策定されている。
2006年10月にリリースが予定されているJava SE 6では、JOGLが内部的に使用されており、グラフィックの高速化が行われている。また、Java SE 6にJOGLが統合されたことにより、軽量コンポーネントであるSwingでも3Dのレンダリングを効率よく行なうことが可能になった。
Swingを利用したリッチクライアントに関するカンファレンス内のセッション(TS-1297)においても、表現力向上のために、2Dアプリケーションの中で3Dを使用することが提案されている。
3Dが活況を呈しているのは、Java SE 6でJOGLが採用されたことに加え、3Dを使用したJavaのシステムが数多く登場していることも要因になっている。その代表格は3Dのデスクトップシステム「Project Looking Glass」(LG3D)である(関連記事)。
LG3Dは今回のJavaOneにおいて、バージョン0.8.0を発表した。バージョン0.8.0では、AWT/Swingを3Dアプリケーションで使用できるようになり、Swingで作成されたパネルを旗のようにたなびかせるデモが行われた。また、パフォーマンスや安定性も向上している。
LG3D上で動作するGoMonkey(関連リンク)もパビリオン内でデモされている。GoMonkeyは2台のカメラを使用し、ユーザーの手の動きを認識して、GUIを操作することができる。このユーザーインタフェースは映画「マイノリティリポート」におけるコンピュータの操作法を彷彿させるものである。
コンピュータの処理能力やグラフィック能力が向上することで、3D技術のしきいが低くなってきている。それに伴い、2Dのアプリケーションであっても、要所要所で3Dを使うことも予想される。今後、Javaの3D技術は要注目である。
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