GoogleのシュミットCEO、景気後退の影響とコンピューティングの将来を語る好況企業にも不況の波

Googleのエリック・シュミットCEOはサンフランシスコで開催されたカンファレンスにおいて、今日の景気状況、クラウドコンピューティング、Netbook、今後の広告収入の展望などについて語った。同氏によると、MicrosoftとYahoo!は今でもGoogleの検索ビジネスに対する有力な競争相手だという。

» 2009年03月06日 08時05分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 Googleのエリック・シュミットCEOは3月3日、サンフランシスコで開催された「Morgan Stanley Technology Conference」において講演を行った。その内容は、Googleが今日の不況にどう対処しているかといったことや、「Netbook」と呼ばれるミニノートPCの出現に関する話題など多岐にわたった。

 どの企業でも今日の景気後退は重大な関心事となっているだが、シュミット氏も、この不況でGoogleがどういった影響を受ける可能性があるかを説明するのに数分間を費やした。

 「オンラインの世界では向こう数四半期にわたり、状況は極めて厳しくなるだろう」と同氏はカンファレンスで語り、業界が景気回復に向かうのは2010年以降になるとの見通しを示した。

 「当社も影響を免れるわけではない」と同氏は付け加えた。

 アナリストによると、Googleが不況の影響を受ける可能性があるというシュミット氏の率直な見解は当を得たものだという。

 Pund-IT Researchのアナリスト、チャールズ・キング氏は「この12カ月にわたって経済後退が続く中、企業のCEOたちは真実を直視するのを避けてきたことで、その報いを受けている。CEOやCIOといった“CxO“レベルのエグゼクティブは、現在の景気状況および自社がそれでどういった影響を受けるのかについて、人々に正直に話すことが重要だ」と指摘する。

 「足下の現実を見ると、人々の消費支出は減少している。このため、広告収入に依存しているGoogleのような企業も影響を受けるだろう」とキング氏は付け加える。

 しかし、この不況の嵐の中にも一筋の光明が見えないわけではない。少なくともGoogleにとってはそうだ。

 「企業の間に新しいシステムを試そうという意欲が高まっている。われわれは情報、メールアプリケーション、ドキュメントを中心とした企業向け製品を提供しており、新しいシステムを試そうという顧客の意欲の高まりを喜んでいる」とシュミット氏は述べた。

 またシュミット氏は、検索エンジンをめぐる戦いは終わったとする見方を否定し、「この分野で新たなプレーヤーが頭角を現す一方で、古くからのプレーヤーも市場シェア拡大を目指した取り組みを続けている」と指摘した。

 「Microsoftは検索エンジンの開発に非常に力を入れている」と同氏は警戒心を示した。

 シュミット氏は、検索市場のもう1社のメジャープレーヤーであるYahoo!についても言及し、同社の新CEOに就任したキャロル・バーツ氏は「優秀かつ有能な」CEOであると述べた。

 バーツ氏も、Morgan Stanley Technology Conferenceで3月3日、広範なテーマに関して聴衆と意見を交わし、その中でYahoo!の検索ビジネスをめぐるMicrosoftとの交渉はすべて“内密で”行われると述べた。

 「クラウドコンピューティングも普及しつつある」とシュミット氏は語った。

 「クラウドコンピューティングは、エコシステムに参加している企業がそれを受け入れるかどうかにかかわらず起きる変化の1つだ。技術がその変化を引き起こすからだ」と同氏は説明する。

 これは結局、Googleにとって良いことだ。あらゆる人々がオンライン化することで、「ユーザーの行動に関する情報がたくさん得られ、それを掘り下げて分析したり、この情報に基づいて興味深い製品を開発したりできる」という。

 2009年は、クラウドコンピューティングをめぐってGoogleとMicrosoftが戦いを開始する年だと予測する人もいる。

 シュミット氏は将来に関して、「携帯端末は、人々が情報を得る主要な手段となるだろう」と語った。ムーアの法則を引き合いに出した同氏は、メディア主体型のアプリケーションを含め、ユーザーが今日PCで行っているあらゆることが、コンピュータのプロセッサに匹敵する能力を備えた携帯電話でできるようになるのは、「数十年後ではなく数年後のことだ」と確信しているようだった。

 「そのときには、携帯端末の画面に表示される広告の収入が、従来のPCに表示される広告の収入を上回るだろう」と同氏は予測する。

 「将来の携帯端末はGPS機能を備えるようになる。また、パーソナルな存在にもなるだろう――ユーザーが何を見たのかを覚えており、テレビのように同じものを何度も繰り返し見せたりはしないだろう」と同氏は語る。「これはビジネスモデルを大きく変えるものだ。こういった製品は既に開発が進められている。そこからどうやって収益を生み出すかということが、チャレンジでありビジネスチャンスでもある」

 シュミット氏はいかにもCEOらしく、このコンピューティングの将来展開に伴う価格構造も描いてみせた。「広告料金は高くなるだろう。なぜならターゲットが絞り込まれるからだ」

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