SMBのIT投資意欲、低下が鮮明に 手堅いセキュリティ分野にも波及IDC Japan調べ

2008年度に比べて中堅・中小企業のIT投資が一層鈍りそうだ。世界的な経済危機がIT投資意欲を鈍らせ、手堅い投資が期待されていたセキュリティ分野でも足取りが重い。

» 2009年04月06日 15時32分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 国内の中堅・中小規模の企業(SMB:Small and Medium Business)が2009年度のIT投資予算を前年度に比べて削減する傾向にあることがIDC Japanの調査で分かった。2008年に実施した同様の調査に比べて、削減すると答えた企業が20%以上増えており、世界的な経済危機の影響がSMBにも波及している。

 IDC Japanの調べでは、2009年度のIT投資予算を前年度よりも「減少する」と答えたSMBの割合が40.9%に上った。2008年2月に実施した同様の調査では、投資の削減意向があるSMBは19.6%。1年間で20%超のSMBが投資意欲を鈍らせた。

 産業分野別に見ると、製造業、IT関連のサービス業、建設/土木業、公共などの分野で、IT投資の削減意向が顕著に現れた。こうした動きが国内のIT市場を減速させ、マイナス成長になるとIDCは見る。

 不況下でも手堅いIT投資が期待されてきたセキュリティやコンプライアンス関連の分野でも、2009年度以降は投資が減速する見通し。特に「ネットワークや施設、ハードウェアのセキュリティ強化」では、2009年度の投資意欲が28.3%となり、2008年の42.8%から大きく減少した。

 重点的な投資が期待される分野は「市場分析」および「製品/サービス開発支援」。企業の経営戦略にかかわる戦略的な投資へのニーズは根強い。

 SMBが抱える経営課題では「売り上げの拡大」が54.3%でトップ。既に経費削減を実施している企業や、経費削減の効果が少ないと判断する小規模の企業は、売り上げの拡大を最優先の課題ととらえている。

 同調査は、IDC Japanが発行した「2009年 国内中堅中小企業IT市場 ユーザー企業のIT投資動向調査」によるもの。2009年2月に国内のSMBに調査を実施し、IT投資動向や製品、ITサービスの利用状況などをまとめている。

中堅中小企業における2009年度のIT投資予算増減率 中堅中小企業における2009年度のIT投資予算増減率(出典:IDC Japan)

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