「スマートフォンを使ってほしい」――企業利用を狙うモバイル業界飽和市場を打開したい(3/3 ページ)

» 2009年05月01日 08時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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スマートフォンを使うための課題

 武藤氏はまた、企業でのスマートフォン利用を啓蒙する狙いについて「国内の携帯電話市場が飽和状態になり、通信事業者が個人の2台目所有や法人での利用拡大を図りたいという考えもある。この結果、サービスがさらに充実し、ユーザーにとってより良い環境が促進される」とも話す。

 海外も含めてスマートフォンの企業導入については、まだまだ手探り状態の企業が多く、リポートにあるように導入メリットそのものが分からないとする意見も目立つ。先進性を特徴とする一部の企業を除いては、社員個人がスマートフォンを持ち込んでいるケースが多く、そうしたケースでは情報システム部門も「管理規定がない」などの理由で黙認している。

 スマートフォンを企業で利用するためには、PCと同様に情報システム部門が適切に管理できる手段が必要だとする意見もあり、今後は運用面でも企業が導入しやすい条件を整備することが求められそうだ。

 例えば、端末やモバイル用アプリケーションの配布、設定、変更管理、権限管理、セキュリティ対応などを一元的に行いたい場合、Windows MobileやSymbianなど特定のスマートフォンOSに対応していても、iPhoneも含めたマルチOS対応のソリューションが現時点で存在していない。また、企業としてどのOSを選ぶべきか、どの端末を選ぶべきかといった指標がなく、企業としてスマートフォンを十分に考慮したポリシーを用意している場合も少ない。

 スマートフォンの市場拡大では、個人向けではオンライン型アプリケーションサービスなどを売りに普及拡大の本格化が見込まれるが、企業向けには開発環境のメリットばかりではなく、運用管理の環境を中心にITベンダーやシステムサービス企業を含めたさらなる環境整備が重要になりそうだ。

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