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» 2009年11月27日 08時00分 公開

導入事例:経理部門ではなく、社員みんなのために会計システムを作る――スカイネットアジア航空 (2/2)

[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]
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ワークフローを入り口としたWebベースの柔軟なシステムを構築

 課題を解決するべく会計システムの情報収集を開始した同社が特にこだわったのは、ワークフローを入り口にして、そこから会計システムにデータをつないでいくことだった。新システムの考え方について、早川氏は次のように説明する。

 「市販の会計パッケージでは、データを入力する際にある程度の会計の知識が必要とされます。そうした知識がなくても、会計情報を併せて入力できるシステムを目指していました。このため、以前から使っている帳票イメージをそのまま画面に再現し、以前と変わらない感覚で入力してもらい、勘定科目などの会計データは裏側で自動的に付与した上でフローを回すような仕組みを考えました。また、内部統制という観点でも、権限レベルがしっかり管理されたワークフローが必要と考えたのです」(早川氏)

 もう1点、同社が重視したのが、各部門への情報開示だった。具体的には、管理会計で作成されたデータを各部門の所属長に公開することで、予算に対する遂行責任や損益に対する意識をより明確化することだった。社員一人一人の活動が会社の利益を生み出しているという意識を喚起することも、新しい会計システムに課せられた大きなテーマだったのである。

長友氏 企画部 経理課 係長 長友和也氏

 調査の結果、いくつかのソリューションに絞り込み、約1年をかけてじっくり比較・検討が行われた。例えば、候補に挙がっていた海外製のソリューションの場合、業務に沿ったシステムではなく、システムに業務運用を合わせなければならない点が問題だった。また、国産の低コストなオールインワンパッケージも検討されたが、運用ニーズへの対応や、業務拡大に向けた拡張性の点で疑問符が付いた。

 結果として採用されたのは、ワークフロー「X-Point」を入り口とし、会計システムの「SuperStream」をベースに、ニーズに対応させる部分をアドオンで構築していくという方法だった。スカイネットアジア航空は、東芝ソリューションによるこの提案を、同社の現状と将来を把握した内容だったと評価しているという。

 さらに「機能ごとに業務モジュールの分割導入が可能なことも重要なポイントだった」と、企画部 経理課 係長の長友和也氏は指摘する。

 「モジュールが分割されたSuperStreamは、業務機能追加要求への対応や、部分的な改変など拡張性にも優れていると考えました」(長友氏)

 採用が正式決定したのは2008年2月。“運用開始は2009年4月”と決まっていたため、開発期間は約1年。開発サイドにとっては、厳しい条件でのスタートとなった。

 開発に際し、まずはプロジェクトチームによる現在の業務フローの分析を実施した。新システムに必要な機能の洗い出しを行い、機能範囲に反映していった。

 「システム設計段階では、機能の要否だけではなく、業務自体の見直しなど数多く議論しました。その意味では、システムの開発を通じて、業務改善に対する意識が少しずつ変わっていったという面があると思います」(早川氏)

 業務フロー分析と並行して、経営分析に必要なセグメント照会などの管理会計機能、出張精算や経費精算などのワークフロー機能範囲を決定し、アドオン開発を行い、2009年4月、予定どおりカットオーバーを迎える。

導入イメージ 新会計システムの導入イメージ(クリックで拡大)

経理部門のための会計システムではなく、すべての社員が有効活用できる会計システム

 新しいシステムの効果は、まずは入力部分に現れた。何度も同じデータを入力する必要がなくなったため、業務が大幅に効率化されたのである。

 重複入力が課題となっていた支払業務についても、ワークフロー、支払管理システム、財務システムのデータ連携と、データ自動生成機能により、予想された効果が表れた。

 ワークフローの導入により、業務処理の“見える化”が実現したのも大きな成果だった。承認されていない文書がどれくらいあるのか、どこで止まっているのかなどがすぐに分かるため、対策も素早く打てるようになったのである。もちろん、厳密な権限管理のもとに運用されるワークフローは、セキュリティや内部統制の観点からも不可欠な存在となっている。

 管理会計の面では、予算集配信業務の効率化と、業務内容に応じたコスト分析やプロジェクト単位の収支など、さまざまなセグメントで分析できる基盤が整った。活用は始まったばかりだが、その効果はさまざまなところに現れてくると期待されている。

 また、今回のシステムには、航空機の運航実績などの非会計データを自動的に取り込む仕組みが組み込まれており、非会計データとの組み合わせにより多面的な経営分析が可能となっている。

 将来的には、各部門で稼働しているさまざまなシステムとも連携しながら、いろいろな情報を一元的に運用できるシステムへと進化させていくという。

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