世界で勝つ 強い日本企業のつくり方
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» 2010年01月01日 00時00分 公開

世界で勝つ 強い日本企業のつくり方:国産ICTは極めてハイレベルだ (2/4)

[構成:藤村能光,ITmedia]

日本のICTのレベルは極めて高い

 日本のICTのレベルは極めて高い。それを象徴するのが、情報システムを中心にした流通のコントロールだ。代表的なものはイオンやコンビニエンスストアの取り組み。ここのICTだけを見ても、世界において圧倒的な品質を保っている。

 流通の分野ではFederal Expressやヤマト運輸が物流とICTを連携させた好例だ。これらの企業はコンピュータを軸にした翌日配達のシステムを持ち、異なる仕組みで運営している。Federal Expressは全米に効率的に輸送する「ハブ&スポーク理論」をビジネスの場に組み込み、物流や輸送の全体最適化を果たした。

 一方ヤマト運輸は「セル方式」と呼ぶ仕組みを採用した。平たく言えば、出荷、配送を担当者に集中させることで人件費などを下げる仕組みだ。例えば1人が千代田区を担当すると30〜40個しか荷物を集められないが、1つのビルを担当すると100個は集められる。(業務を)どれだけ集積化するかを考え、情報システムを基盤にした仕組みを作り出した。

 これらの発想は何かを真似したのではない。アイデアを突きつめることでその仕組みに至ったのだ。ICTを活用し、どの配送拠点で渋滞があり、それをどう回避するかを考えた。(従業員の工夫と注意によって)失敗項目を無くしていく「ゼロディフェクト」という品質改善手法を徹底し、翌日配送ができる範囲を広めていった。こうした超一流のアイデアの下支えをしてきたのが、情報システムだ。

 銀行のオンラインシステムも、世界で類を見ないキャッシュレスシステムだ。米国で流通しているドル札を見ると、ひどくしわが寄っている。すなわち札が使い込まれているのだ。逆に日本はEdySuicaといった電子マネーが普及し、紙幣が使われなくなっている。キャッシュレスの世界の到来であり、銀行のオンライン化は米国よりも早い。日本企業はこの仕組みをほかの国に移転できるかが鍵になる。

 行政が介入していないヤマト運輸やセブン-イレブンなどの企業の情報システムは発達している。このノウハウをアジアに持って行くことを考えればいい。ロボットに代表される工場の機械化や自動化において、日本企業は世界の2番手にはない発展をしている。これを生かせば、アジアでも日本の競争力を示すことが可能だ。一方で、行政が過剰に関与している電子行政や医療、教育分野の情報システムは遅れているといわざるをえない。

 日本の半導体産業の拠点が、タイなどのアジアに移り、熊本や房総半島といった日本に戻ってきたことがあった。半導体産業が元気だったころの話だ。これは自動化が進んだからである。タイや東南アジアの工場拠点では、人が顕微鏡を見ながらはんだづけを行っていた。人件費が安いからこそ、人海戦術が通じた。だがこうした作業はロボット(機械)が代替するようになり、人がいらなくなった。プログラムの変更にもすぐに対応できる日本のほうがいいという理由で、日本に工場が戻った。これは家電製品や自動車など半導体を大量に使うという市場があったからだ。

 半導体市場が中国に開けてくると、当然国内企業は中国に拠点を増やす。そこでは中国人が中国の需要を発掘し、日本企業がそれを支援しながら日本ブランドで国際的に展開していくという流れになる。

 グローバルなネットワークを展開できるなら、拠点はどこにあってもよくなる。それなら日本は情報システムの拠点を日本において、オペレーションする方がいい。行政や研究の分野では情報通信産業の遅れが目立つが、民間レベルの情報通信産業は高品質で、能力もある。それを生かせば、アジアで十分に競争力を発揮できる。

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