富士通が社長交代で重んじたイメージWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2010年01月25日 09時13分 公開
[松岡功ITmedia]
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イメージチェンジも狙った社長交代

 間塚氏はさらに「今月56歳になったばかりと、若さも非常に重要な要素。経営トップには豊富な経験も求められるが、今回の選定では若さに賭けた」と強調した。

 こうした間塚氏の一連のコメントから、つまりは柔軟性、行動力、胆力を兼ね備えた若い山本氏に、10年レンジで経営の舵取りを託したことがうかがえる。

 もっとも山本氏は自らの年齢について、「若いといわれるが、世界の競合企業の経営トップと比べると決して若いわけではない」とキッパリ語ったうえで、「年齢がどうという次元は越えて、グローバルITカンパニーになれるよう邁進していきたい。そのためにも、富士通を明るく元気な会社にしたい」と意欲を見せていた。

 さて、記者会見のやり取りから「新鮮さ」につながるポイントをピックアップしてきたつもりだが、今回の富士通の次期社長選定に当たっては、同社のイメージにおける重要なポイントがもう1つある。

 それは、前社長が突然退任した衝撃が社内や取引先に残っていることだ。病気療養という退任理由についても疑問視する声がくすぶっており、さまざまな憶測も飛び交う中で、同社に対するイメージのよどみは消えていない。このままでは信頼回復もなかなかおぼつかない。

 そうしたイメージのよどみを払拭する意味でも、今回の次期社長選定は大きなインパクトを持っていたと考える。もちろん、10年先を考えた経営体制やグローバルITカンパニーへのチャレンジに向けた陣容づくりが、選定の最大のポイントだったと思われるが、同時に今のよどんだイメージを払拭する狙いもあったのではないか。

 若くて新鮮味のある山本氏は、出身畑も含めて一連の騒動にも何のしがらみもないように見える。ただ、よどんだイメージは払拭できても本当に信頼を回復するのは、今後の新経営体制の手腕にかかっている。

 その点、「富士通を明るく元気な会社にしたい」という山本氏の言葉は、シンプルながらも次期社長として相応しいメッセージだと感じた。

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プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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