Oracle、クラウド対応のアプリスイート「Oracle Fusion Applications」を発表

プライベートクラウドにもパブリッククラウドにも対応するモジュラー型業務アプリスイートの「Oracle Fusion Applications」は、CRM、SCM、GRCなど多様な業務に対応する。

» 2010年09月21日 15時42分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 サンフランシスコで開催中の年次カンファレンス「Oracle OpenWorld 2010」の初日、データベース大手の米Oracleは次世代のビジネスアプリケーションスイート「Oracle Fusion Applications」を発表した。

 Oracleのラリー・エリソン会長兼CEOはオープニングの基調講演で、「アプリケーションのアーキテクチャ、デザイン、配備の標準を確立することにより、顧客は自社のアプリケーション環境の価値を拡大できる。Oracle Fusion Applicationsのコンポーネントを既存のアプリケーションポートフォリオと併用できるからだ」と語った。

 エリソン氏によると、Oracle Fusion Applicationsはモジュラー型アプリケーションの包括的スイートとして提供され、既存のOracleアプリケーションと共存可能だ。顧客は個々のモジュール、製品ファミリー、あるいはスイート全体を選択できるので、新たなレベルのパフォーマンスに対するビジネスニーズに合ったペースでOracleの先進技術を利用可能という。

 「当社のSiebelおよびPeopleSoftアプリケーションも引き続きサポートする方針だ」とエリソン氏は述べた。

 「最先端の技術を採用し、Oracleの数千社の顧客のベストプラクティスを取り入れて一から開発されたOracle Fusion Applicationsは、100%オープンな標準ベースのビジネスアプリケーションとして、企業における技術革新、業務手法、技術導入の新たな標準を確立する」と同技術に関するOracleのプレスリリースは述べている。

 同社によると、Oracle Fusion Applicationsは7つの製品ファミリーに含まれる100余りのモジュールによって個別機能を実現する。財務管理、購買とソーシング、プロジェクトとポートフォリオの管理(PPM)、人的資源管理(HCM)、カスタマーリレーションシップ管理(CRM)、サプライチェーンマネジメント(SCM)、ガバナンス、リスクとコンプライアンス(GRC)など多数の業界および地域に対応した機能を提供するという。

 Oracleアプリケーション開発部門のスティーブ・ミランダ上級副社長は「Oracle Fusion Applicationsは、アプリケーションソフトウェアと技術投資の新時代を切り開く」と発表文で述べている。「新たな標準を確立し、初の100%オープンで標準ベースのビジネスアプリケーションを提供するために、われわれは数千社の顧客の声に耳を傾け、彼らのベストプラクティスを収集した。Oracle Fusion Applicationsは本日より、企業の技術革新、業務手法、技術導入の標準を定義する」

 エリソン氏によると、Oracle Fusion ApplicationsはSOA(サービス指向アーキテクチャ)の基盤上に構築されているという。同スイートでは「Distributed Order Orchestration」や「Shared Services Procurement」を利用することにより、異種混在環境内で業務機能を管理することが可能だ。組み込み型ビジネスインテリジェンスと連係したロールベースのユーザーエクスペリエンス、例外ベースのアラート、コラボレーション機能なども備えており、これらの機能は実行中の業務の内容に応じて提供される。

 サービス指向アプローチと共通データモデルを利用した100%標準ベースのミドルウェアの基盤上に構築されているのは、Oracle Fusion Applicationsだけだという。この最新のアプローチは、顧客企業における変更と改善のスピードアップを可能にすると同時に、短期的・長期的なコスト削減につながるため、ビジネス部門とIT部門の両方に恩恵をもたらす。また、簡素化された構成と共通のデータモデルにより、ビジネス部門は「1カ所を変更するだけで、あらゆる部分が変更される」というアプローチを利用できるため、改善の迅速化、そして障害と遅延の減少というメリットが得られる。

 さらにOracle Fusion Applicationsは、モジュラー方式で導入する、広範な配備方式の中から選ぶ、ビジネスニーズの変化に応じて拡張あるいは縮小するといったことを可能な選択肢と柔軟性を企業に提供する。そしてセルフサービス型管理インタフェース、機能構成用のガイドとツール、ビジネスユーザー向けのトレーニングビデオを組み込んだ統合ヘルプシステムが、導入パターンに関する最先端のトレーニングとエンドユーザー向けトレーニングを提供する。

 またOracle Fusion Applicationsでは、オンプレミス型クラウドからプライベートクラウドやパブリッククラウド、ビジネスアウトソーシング、あるいはこれらの組み合わせに至るまで、広範な配備オプションが用意されているという。モジュラー方式で導入可能なこと、そしてOracleあるいはサードパーティーの既存のアプリケーションと共存可能なことにより、顧客がOracle Fusion Applicationsを導入するに当たって、必ずしも既存の資産を廃棄する必要はない。

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