名カウンセラーとなれ 福岡の通販企業が実現する顧客サービスとは(2/2 ページ)

» 2011年05月11日 11時00分 公開
[伏見学,ITmedia]
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事業拡張が容易な柔軟性を評価

 そうした課題を踏まえJIMOSが採用した新システムが、インタラクティブ・インテリジェンスが提供するコンタクトセンター向けソフトウェア「Customer Interaction Center(CIC)」である。同製品は、PBX(構内電話交換機)やIVR(音声自動応答)、メッセージング、レポーティングなど、コンタクトセンター業務における基本的な機能を統合したもの。JIMOSはわずか10カ月でシステム導入し、2011年2月から本格稼働している。CICを採用した理由について、磯野氏は「自社での運用が可能で、座席増加などの事業拡張にも低コストで対応できるシステムの柔軟性を評価した」と述べる。

 具体的な効果はどうか。コスト面では、前システムと比べて導入費が3分の1に、メーカーに頼らずに自社でシステム運用できるようになったことで年間の保守費が30%削減したほか、IP回線への変更などによって、レイアウト変更や座席増設、多拠点展開に伴うコストを4分の1に抑えることができるという。

 運用面でもさまざまな効果が現れている。通話録音機能に関して、前システムではライセンス上の問題があり、通話録音を聞き起こすシステムが全座席に導入されてなかったが、新システムはオペレーター全員が自分の座席で音声を聞くことができる。「オペレーターは自席で電話しながら通話録音を聞けるようになったので、コール処理効率が大幅に改善された」と磯野氏は話す。

仕事で成果を上げたオペレーターを表彰する取り組み。モチベーションアップにつながっている 仕事で成果を上げたオペレーターを表彰する取り組み。モチベーションアップにつながっている

 顧客データの管理も改善された。同社では以前からコンタクトセンターシステムと顧客データベースをひも付けて、最も適したオペレーターにコールを着信させる仕組みを構築していたが、PBXとCTI(Computer Telephony Integration)が別々のシステムだったため、コールフローを最初から最後まで一貫したデータとして管理することはできなかった。新システムはオールインワンパッケージになっているため、コールに関するあらゆるデータを一貫した顧客データとして数値化できるようになった。これにより、SV(スーパーバイザー)などのマネジャー職はオペレーターの業務管理がやりやすくなったほか、データを活用して新たな戦略を組み立てることも可能になった。

 業務管理という点では、モニタリング機能の充実も大きい。前システムではSVは基本的にオペレーター1人の作業しかモニタリングできなかったため、例えば、通話時間が長い、保留時間が長い、何度も保留するといった事態が同時に複数のオペレーターで見られても、SV一人では迅速に対応できなかった。新システムでは同時に複数のオペレーターをモニタリングする機能が実装されたことで、SVの管理効率は向上し、リアルタイムで数人のオペレーターを指導することが可能となった。

「新システムの稼働からまだ2カ月しか経っていないが、早くも現場ではさまざまな業務改善がなされている。今後、システム刷新の効果はさらに期待できるはずだ」(磯野氏)

顧客満足から社員満足まで

 新システムの導入に伴い、今後の事業展開としてJIMOSが見据えているのは、コンタクトセンターの多拠点運営や、オペレーターの在宅勤務環境の整備である。特に在宅勤務は同社にとってかねてからの検討事項であるという。「女性の多い職場なので、これまで結婚や出産による退職は避けられなかった。在宅勤務できる環境を提供することで、優秀なオペレーターに継続的に仕事を続けてもらいたいという思いがある」と松尾氏は語る。

 在宅勤務の環境整備についてはこれから進めていくとしているが、先んじて男性社員も含めた育児休業を積極的に推進するなど、「ワークライフバランス」の視点を持って社員が働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

 顧客満足度の向上とともに、それを支える社員の満足度も高める。これこそが今後企業が目指すべき姿といえるだろう。

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