ANAが乗客向けメール配信システムを刷新 個別通知も可能に

メール配信に必要な情報をリアルタイムに取得し、配信対象の拡大と特定の顧客へのメール配信を実現する新システムを稼働させた。

» 2014年10月09日 17時31分 公開
[ITmedia]

 全日本空輸(ANA)が、国内路線の乗客を対象とした新メール配信システムを構築、運用を開始した。日本オラクルが10月9日に発表した。

 このシステムでは、運航の遅延や欠航などの突発的な変更が発生した際のメール配信先について、これまで提供してきた搭乗手続きを済ませた顧客だけでなく、予約を保持している顧客にまで拡大させ、特別な案内を必要とする個別の顧客へのメール通知も可能にした。オラクルのデータベースマシン「Oracle Exadata」とリアルタイムデータ統合ソフト「Oracle GoldenGate」などから構成されている。

 昨今ではインターネットでのチケット購入が普及し、空港で搭乗手続きをすることなく直接、保安検査場に進むことのできるサービスが浸透している。このため、利用者と航空会社の係員の接点が少なくなってきており、運航の遅延や欠航などの突発的な変更が発生した際など、さまざまな顧客からの情報提供の要望に迅速にきめ細かく対応できるサービスの強化が求められていた。

 システム面ではメール配信システムが扱う大量の顧客データから配信対象の絞り込みを短時間で完了できること、システム強化に伴う基幹業務系システムへの影響を極小化すること、また、予約の処理量が増大する繁忙期や突発的な事象が発生した際に、一時的に増大するデータの処理性能を確保できる能力が求められた。ANAはこうした要件を満たすシステムを選定した。事前検証ではExadataが、想定負荷に対して十分以上の処理性能が得られることを確認し、GoldenGateでミリ秒単位でのリアルタイムなデータ連携を可能とする点が評価された。

 新メール配信システムの稼働によって、同社が想定していたよりもメール配信の準備作業が大幅に短縮され、運行便の突発的な変更が発生した際にも、搭乗予定客にメールを配信できるようになった。繁忙期や割引キャンペーンの時期などのピーク時でも、基幹システムに影響を及ぼすことなく問題なく動作しているという。

 開発期間は当初13カ月が見込まれたものの、上述の製品を活用して8カ月に短縮された。

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