実験の結果、チャットを開いて対話を始めたユーザーは全体の約2割、そしてその中の約8割が商品の提案フェーズにまで到達したという。
2018年5月の結果では、チャットをしなかったユーザーが購買した確率が1.53%だったのに対し、チャットを通じて商品の詳細を見たユーザーは4.49%と約3倍のCVR(コンバージョンレート:顧客転換率)だった。女性よりも男性の方が、そして、購買経験があるよりも、未経験のユーザーの方が、CVRの向上率は高かったそうだ。
数値だけ見れば大きな変化ではあるものの、このデータだけでは「エージェントとのチャットによって購買意欲が高まった」のか、「そもそも購買意欲が高いユーザーがチャットを利用していただけ」なのか判断がつかない。この結果を基に、今後さらなる検証を進めていく考えだ。
「自分があまり知らないものであったり、高価だったりするものは人に相談したくなるもの。今回はジュエリーでの実験でしたが、この他にも、複雑な契約になりがちな保険などにも、対話型エージェントは有効だと考えています」(馬場氏)
「対話エージェントによる接客は、まだまだ技術が追い付いていない部分がある」と話す馬場氏。しかし、対話やシナリオの設計次第では、うまく機能する可能性がある。AI Labでは、この他にもクレーマーの怒りを鎮めるエージェントなども開発しているという。今は一問一答的な印象が強いチャットbotだが、こうした研究によって、人間の“相棒”のような存在へと育っていくのだろう。
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