先ほど小学生の理数離れが進んでいるという話をしました。そんな中、子供たちの理数離を食い止めている小学校が熊本県にあります。
もし皆さんが小学校の校長先生なら、または小学校の先生だとしたら、どのようにして小学生の理数離れを食い止めますか?
いいえ、違います。この小学校では国語の授業に力を入れることで、それを実現しました。「なぜ理科と算数なのに国語なの?」。理科系と文科系でまったく関係ないのではないかと思いますよね。
理数離れを食い止めた小学校の校長先生は「理解力、論理力は国語力によって改善される」といいます。理解力や論理力を必要とする理科や算数は、子供たちの理解力や論理力が強化されれば自然と理科や算数が好きになると考えたわけです。
そして、実際の対策は次のようなものでした。
実施したのはこの2つです。
“子供たちに長文を読ませ、読んだ内容をクラスのみんなの前で発表する”、きっと最初は要領を得なかったのではないかと思います。それでも「みんなに分かってもらいたい」という意欲が、自然と文章の要点や意図を意識することにつながってゆき、それを繰り返しているうちに、文章の理解力が高まっていったのではないかと思います。
そして、“自分の好きなスポーツや遊びをみんなの前で発表する”については、例えば「僕はサッカーが好き」だとします。
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これらを国語の授業に取り入れ、繰り返し繰り返し行ったそうです。
その結果、この小学校の理科と算数の理解力が高まり、全国平均と比較してもその差が現れたといいます(2004年3月9日 NHK総合「おはよう日本」より)。
この小学校で行われた国語力の強化は、問題発見力を構成するスキルのうち、「理解力、論理構成力(構造化スキル)」と「プレゼンテーションスキル」の2つに該当します。
小学生が理解力、論理力を高めることができることと同様に、私たちビジネスマンも、上記4つのヒアリングスキル、理解力、論理展開力を含むスキルを高めることにより、問題発見力(つまりは問題可決力)を早期に高めることが可能です。次回はプレゼンテーションスキルと柔軟な発想力についてお話しする予定です。
▼著者名 秋池 治(あきいけ おさむ)
株式会社リアルナレッジ 代表取締役
横浜国立大学卒。メーカー系情報システム会社にてシステム企画とシステム開発に従事。その後、ユーザー系企業でデジタルビジネスの企画および社内改革に取り組む。2003年に数名の仲間と共に株式会社リアルナレッジを設立、業務プロセスの可視化やプロセスの最適化により、経験や勘に依存せず業務を遂行するためのパフォーマンスサポートを提供している。
著書に「情報エキスパート」(アプライドナレッジ刊)がある。
e-mail:akiike@realknowledge.co.jp
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