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» 2005年02月25日 12時00分 公開

問題発見能力を高める(7):“構造化スキル”を鍛えて、 問題発見力を高めよう! (3/3)

[秋池 治,@IT]
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ステップ3:分類の種類を考える

 さてステップ3です。分類する際に、分類の種類を知っていると分類しやすくなります。問題発見を行う際の分類には、次のような種類があります。

1.同じ種類で分類する
 先ほどのステップ2までの方法で、対象から同じ種類を探し出しくくります。

2.全体と部分の関係 (抜け漏れなし)
 先ほどの人間の構造化の例では、「人間は男性と女性から成り立っている」のように、その構成要素は抜けや漏れがない状態を指します。
 これを逆に利用して、「これら分類で全体に対して抜けや漏れはないだろうか?」と自分に問い掛けることで見落としていた要素を身に付けることができます。

3.並列の関係 (反対にプライオリティ)
 並列の関係は分類が全体と部分の関係ではあるものの、要素しては抜けや漏れがある可能性がある状態をいいます。
 例えば、「品川?横浜間の経路には、東海道線と横須賀線があります」の場合は、下記のような構造図になりますが、ほかにも路線があるので“全体と部分の関係”とは言い切れません。この東海道線利用と横須賀線利用は、どちらかが優先されるのではなく等価という意味で並列に並んでいます。

  • JR 東海道線を利用
  • JR 横須賀線を利用

 並列ではなくどちらかが優先している場合は、順序やプライオリティを付けて構造化します。「対象は並列の関係なのだろうか?」と自らに問い掛けることでビジネスでは非常に重要な考え方であるプライオリティを付ける習慣(とらえ方)が身に付きます。

ステップ4:順序、因果関係を考える

 ステップ4は構成要素それぞれを順序(つながり)の面から、その関係を検討します。分類を構造図にした場合、各要素が“1:多”で結ばれることになりますが、順序では各要素の順序や経緯などを表すために“遷移”がその表現の中心となります。そのため各要素を結ぶ線を矢印で表現します。このように順序や経緯により関係を表す方法を演繹法的アプローチといいます。先の帰納法と同様に演繹法という言葉そのものは「そう呼ぶこともある」程度で良いと思います。対象が複雑な関係から成り立っていそうな場合、理解を促進するために“遷移”が役立つことを知っていれば十分です。

1.原因と結果の関係
「夏、平均気温が高い年は、ビールの消費量が増える」

 「2つの要素は原因と結果として成り立っているのか?」という問い掛けを、自分自身にします。因果関係がはっきりしていれば、原因を取り除くことでその結果発生していた症状(結果)を抑えることが可能になります。原因と結果の関係を誤ると問題の解決に至らないばかりか、間違った策に労力を使うことになります。

 「ビールの消費量を増やすとその年の平均気温が高くなる」は、あり得ませんね。つまり矢印の向きは一方通行です。「夏、平均気温が高い年は、ビールの消費量が増える」

2.時系列の関係
 事実として起きた順番を認識する際に利用します。因果関係があるかどうかははっきり分からないが、順序ははっきりしている場合です。クレームの実態調査などの際、真っ先に使うのはこの時系列の関係ではないでしょうか。
 まずは時系列で事実確認を行い、各要素について相互に因果関係を洗い出す。そして因果関係が特定できない要素は、その原因と予測される要素を探し出し、抜けや漏れがないか確認する。というように、構造化スキルを使ってクレームの解決を図ります。もちろん時系列の関係はクレームだけではなく、計画立案などいろいろな場面で利用できます。

トレーニングのヒント

1.新聞の社説を構造化する
上記構造化スキルのトレーニング方法を実践するに当たり、実際に私自身が行っていたのが、新聞の社説または自分の業務や趣味など興味の対象となる新聞記事や雑誌の記事を構造図に描いてみることでした。初めは短めの記事を題材にして練習し、慣れるにつれて長い文章にトライしていきました。しばらくすると打ち合わせやちょっとした会話のさなかにも、頭の中で会話を構造図にイメージするようになっていました。

2.唯一の答えを求めない
“構造化スキル”で利用する構造図には、算数ドリルのように唯一の正解というものがありません。物事の解釈や理解を構造図にするのは、仕様書からソースを起こすことと類似しているかもしれません。結果的は同じ処理結果が得られるプログラムも、ソースレベルでは違いがあることもあります。それと同様に構造図においても、解釈は同じでも図の並びに違いがあることは珍しくありません。

3.「つまり」と置き換えられれば免許皆伝
相手が説明に慣れていなくて、要点がはっきりしない……

  そんなときでも「つまり○○にはAとBとCの3つの問題が含まれているということですね」というように、一言で言い換えることができれば、構造化スキルをマスターし、理解力、論理展開力が強化されているといえるでしょう。


 今回は問題発見力の強化のために、“構造化スキル”についてお話ししました。次回は問題の解決案を発想するための“柔軟な発想力強化”について解説する予定です。

著者紹介

▼著者名 秋池 治(あきいけ おさむ)

株式会社リアルナレッジ 代表取締役

横浜国立大学卒。メーカー系情報システム会社にてシステム企画とシステム開発に従事。その後、ユーザー系企業でデジタルビジネスの企画および社内改革に取り組む。2003年に数名の仲間と共に株式会社リアルナレッジを設立、業務プロセスの可視化やプロセスの最適化により、経験や勘に依存せず業務を遂行するためのパフォーマンスサポートを提供している。

著書に「情報エキスパート」(アプライドナレッジ刊)がある。

e-mail:akiike@realknowledge.co.jp


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