
勤怠管理アプリの導入やリプレイスを検討する際、「機能が多すぎて選べない」「無料や安価なもので十分なのか不安」と感じる担当者は少なくありません。近年は、働き方の多様化に加えて法令対応も求められ、単に打刻できるだけでは運用が回らないケースも増えています。
本記事では、勤怠管理アプリの基礎知識に加え、導入前に必ず押さえたい「法令対応の必須要件」、業種別の要件定義(診断)、比較しやすい10の選定軸を整理した上で、実務で紹介しやすい推奨14製品の特徴をまとめます。
【この記事でわかること】
- 勤怠管理アプリ導入で必須となる「3つの法令対応(客観的記録・残業上限・有休管理)」
- 業種別(シフト・外勤・ホワイトカラー)の失敗しない要件定義
- 比較しやすい選定軸10選と推奨14製品の特徴
- 導入から定着までの具体的な5ステップ
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目次
勤怠管理アプリとは?
勤怠管理アプリとは、社員の出退勤情報を記録、管理するための「勤怠管理システム」と、その利用を便利にするスマホアプリ(または従業員向けWeb画面)を指します。紙の出勤簿やタイムカード中心の管理に比べ、データとして記録できるため、打刻や集計、申請承認、休暇管理までを効率よく確実に運用しやすくなります。
勤怠管理システムは、従業員の出勤・退勤時間や休暇を一元管理し、効率化するためのソフトウェアや業務の仕組みです。勤怠管理アプリはそのシステムの一部として、スマホやタブレットで手軽に打刻や勤務状況の確認ができるツールと位置付けられます。勤怠管理システムが全体の管理を担当し、アプリはそのシステムを便利に利用するための手段として機能します。
この1ページで解決勤怠管理システムの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイントは? おすすめ54製品をタイプ別に比較
スマホをタイムカード代わりにする
勤怠管理アプリを使うと、出退勤の記録がPCだけでなくスマホやタブレットでも行えるようになります。管理側は、集計の正確性を上げつつ、実働時間の確認や残業時間の把握、シフトの過不足チェックなどにも活用できます。手作業よりも集計ミスや打刻漏れを減らしやすく、不正打刻の抑止にもつながります。
運用としては、勤怠管理システム(管理画面)を会社側が用意し、従業員はアプリまたはブラウザから打刻、申請、勤怠確認を行う形が一般的です。共有端末(受付のタブレット)での打刻を併用できる製品もあり、現場に合わせて「忘れにくい打刻方法」を選ぶことが重要です。
【前提】まず押さえる3つの実務要件と法令対応
アプリ選びで最も大切なのは、機能の多さではなく「法令を守った運用が無理なく回るか」です。特に次の3点は、導入時に必須の確認項目です。
1. 労働時間の客観的把握(打刻の根拠)
厚生労働省のガイドラインでは、労働時間を適正に把握するため、原則として「客観的な記録」を基礎に確認し、記録することが求められています。たとえばタイムカード、ICカード、PC使用時間の記録などです。自己申告も認められますが、運用条件が厳しく、実態と記録のズレが問題になりやすい点に注意が必要です。
そのため、PCログオン・ログオフ、入退室記録、GPSなど「客観的記録を自動で残せる」仕組みがある勤怠管理アプリは、コンプライアンスリスクを下げる上で有利です。
2. 36協定の上限管理とアラート設計
時間外労働(残業)の上限管理は、集計できるだけでは不十分なことがあります。実務では「超過しそうな人を早めに検知し、本人と上長に通知する」「上限に近づいたら申請を止める」など、違反を未然に防ぐ仕組みがあると運用が安定しやすくなります。
3. 年次有給休暇の確実な取得管理
年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対しては、年5日の確実な取得が義務付けられています。実務では「付与日」「取得日数」「残日数」を自動計算でき、期限が近い人をリストアップできると管理の手間を減らせます。
勤怠管理アプリを導入するメリット
勤怠管理アプリは、従業員にとっては「打刻や申請が簡単になる」だけでなく、企業にとっては「法令順守と業務効率化を同時に進めやすくなる」点が大きなメリットです。ここでは従業員、管理者、会社それぞれの視点で整理します。
従業員のメリット
- 勤務時間を正確かつ楽に記録できる
- どこでも勤怠記録・管理ができる
- 各種申請の手続きも簡単になる
勤務時間を正確かつ楽に記録できる
勤怠管理システムとともに、正確な勤務時間や残業時間をリアルタイムで確認できます。これにより手動で記録する手間が省け、ミスも減少、自身の労働時間を正確に把握できます。
どこでも勤怠記録・管理ができる
システムを通じて、勤務時間や残業時間、有給休暇の残りなどを的確に、いつでも手軽に記録し、また確認できるようになります。自己管理もしやすくなり、時間マネジメントや仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を整える効果なども期待できます。
申請手続きを簡単に行える
有給休暇や早退、遅刻などの申請をシステム上で手軽に行えます。紙やメールでの手続きが不要となり、迅速かつ正確に申請が処理されます。直行・直帰や休暇などの各種申請もアプリ上でさっと行えるケースも多く、従業員としては手間のかかる主業務“外”のタスクとなる勤怠申請全般をスッと効率的に行えるようになります。
管理者・会社のメリット
- 勤怠状況を正確に把握できる
- コスト削減を実現する
- コンプライアンスを順守できる
勤怠状況をより正確に把握できる
勤怠情報をデータとして一元的に管理することで、従業員の勤怠状況をリアルタイムに、そして正確に把握できるようになります。打刻漏れや残業時間の超過確認といった労務管理を的確に行えるようになります。小売業などではシフト調整のような人員配置管理にも効果を発揮するでしょう。
コスト削減を実現する
紙のタイムカードや手動の集計作業が不要となり、労務管理にかかる時間やコストを削減できます。結果として、運用コストの低減が期待できます。
そして、何より「正確なデータ」で管理できることで、給与計算業務や人事評価業務の効率化にもつながります。
コンプライアンスを順守できる
労務管理はコンプライアンスと密接に関わる業務です。労働関係法を順守する目的でも勤怠管理システムの導入はメリットが大きいといえます。システムの導入によって、法律に基づいた労働時間の管理や休暇の付与といった行程も自動化できます。法令順守の体制がより確実になります。
おすすめ勤怠管理と労務管理の違いとは?
【診断】自社はどのタイプ?業種別要件チェック
必要な機能は「働き方」で大きく変わります。まずは次の3タイプのうち、自社に近いものから必須要件を洗い出してみましょう。
A. シフト勤務型(飲食・小売・医療・介護)
シフトが複雑で、パート・アルバイトも多いタイプです。複数パターンのシフト登録、希望シフトの回収、他店舗応援(ヘルプ勤務)の集計、予算超過のアラートなどがあると運用しやすくなります。
B. 外勤・現場型(営業・建設・訪問介護・派遣)
直行直帰や現場作業が中心のタイプです。GPS打刻や、スマホだけで申請承認が完結するかが重要です。打刻忘れ通知、専用アプリ以外の打刻手段(ブラウザ等)があるかも確認しておくと安心です。
C. ホワイトカラー・リモート型(IT・事務・企画)
テレワークやフレックスなど、柔軟な働き方が多いタイプです。PC稼働ログと打刻の乖離チェック、在宅と出社の区別、複雑な集計ルールへの対応状況、工数管理や経費精算との連携などが比較ポイントになります。
勤怠管理アプリの主な種類
勤怠管理システムは、タイムレコーダータイプ、デジタル特化タイプ、他業務との連携タイプなどの種類に分けられます。それぞれ以下の特徴があります。
タイムレコーダータイプ
従来型のタイムカード打刻機が“昭和型”とすれば、それに代え、同じ場所へデジタル型の記録端末をオフィスや事業所へ設置して刷新する“平成型”のタイプです。従業員はボタン操作やICカード型社員証をピッとかざすだけで記録できます。また、先進型ではスマホアプリ対応、さらには顔認証などの生体認証技術を用いたシステムもあります。
出退勤の記録に特化したシンプル型であれば、記録端末と作業用PC 1台程度から導入できるので導入コストも比較的低く抑えられるでしょう。
参考おすすめ記事タイムカードの問題は? 勤怠管理システムとの比較、切り替えの注意点
デジタル特化タイプ
昨今一般的になった働き方の多様化とともに「出社が必須ではなくなった」業態のシーンもグッと増えています。デジタル特化型タイプは、業務用のPCあるいはスマートフォンがあれば完結するオンライン対応/クラウド型・SaaS型の勤怠管理システムとともに実現します。
従業員は用意された「勤怠記録の専用Webページ」や「アプリ」でアクセスすれば、PCでもスマートフォンでも、オフィスでも自宅でも、出先でも勤怠登録できます。
他業務連動・多機能タイプ
勤怠管理だけでなく、勤怠情報と密接に結びつく給与管理から、プロジェクト管理や人事管理などにも活用できる多機能型/クラウド型の勤怠管理システムも主流になっています。バックオフィス業務全般の効率化、中でも労務管理やバックオフィス業務の効率化を望むシーンに適しています。社員数が多く、労務管理の負担が大きくなっている企業に勧められます。
参考おすすめ記事先給与計算と勤怠管理を連携させるメリット|連携システムの選び方と注意点、おすすめ製品11選
勤怠管理アプリ比較・選定の10軸
製品を比較する際は、次の10項目で○×をつけると、要件に合わない候補を早い段階で外しやすくなります。
1. 打刻方法
ICカード、顔認証、PCブラウザ、スマホ、共有端末など、従業員が「忘れにくい手段」を選びます。
2. 不正・乖離検知
打刻とPC稼働などのズレを見つけ、隠れ残業やなりすましを抑止できるかを確認します。
3. 申請・承認ワークフロー
残業や休暇の申請ルート、多段階承認、代理承認など、組織に合わせて設定できるかがポイントです。
4. 休暇管理の自動化
付与や期限管理、半休・時間休などの扱いが自社ルールに合うかを見ます。
5. シフト作成・管理
回収から確定、共有までがスムーズか、店舗応援や定員管理に対応できるかを確認します。
6. 各種アラート機能
36協定超過、打刻漏れ、承認漏れなどを自動通知できると運用負担が下がります。
7. 給与計算ソフトとの連携
CSVやAPIで取り込みやすいかが重要です。連携が弱いと毎月の事務が増えます。
8. 権限設定(セキュリティ)
拠点別や雇用形態別など、閲覧範囲を細かく制御できるかをチェックします。
9. サポート・保守体制
初期設定の支援、運用定着の伴走、問い合わせ手段(電話・チャット等)を確認します。
10. コスト・契約条件
初期費用、月額単価、最低利用人数、最低契約期間、無料プランの制限(人数・保存期間・サポート)を整理します。
勤怠管理アプリ導入の5ステップ
選定して終わりではなく、定着までを設計しておくと失敗しにくくなります。
- 1. 導入目的の明確化
- 2. ニーズの整理(Must/Want)
- 3. 無料トライアルの活用と並行稼働
- 4. 従業員への周知とトレーニング
- 5. 導入後の評価と改善
導入目的の明確化
勤怠管理アプリを導入する際、まず目的を明確にすることが不可欠です。たとえば、労働時間の正確な記録、テレワーク環境での勤怠把握、または業務効率化の実現などが考えられます。導入目的を整理することで、選択すべきアプリの方向性が明確になります。具体的には「労働時間削減」「不正打刻防止」などの課題を洗い出し、優先順位などをつけた課題チェックリストを作成し、チェックしていくとよいでしょう。具体的な実行方法は「要件定義の実施方法と考え方」もぜひ参照ください。
課題チェックリストのサンプル
| ☐ | 課題カテゴリ | 具体的な課題 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| ☐ | 労働時間管理 | 従業員の残業時間を正確に把握して適切に管理したい | 高 |
| ☐ | テレワーク対応 | リモートワーク中の従業員の勤怠を正確に記録したい | 中 |
| ☐ | 業務効率化 | 手作業で行っている勤怠データの集計を自動化したい | 高 |
| ☐ | 不正打刻対策 | 代理打刻や不正な勤怠記録を防止したい | 中 |
| ☐ | コスト削減 | コストを抑えながら勤怠管理をデジタル化したい | 低 |
| ☐ | 法令遵守 | 労働基準法を遵守した労働時間管理を徹底したい | 高 |
| ☐ | 従業員満足度向上 | 有給休暇の取得状況を可視化し、取得しやすい環境を整えたい | 中 |
ニーズの整理(Must/Want)
勤務形態(フルタイム、フレックス、シフト制など)と打刻方法、申請承認、給与計算連携、シフト管理の要否などを整理し、必須(Must)と任意(Want)に分けます。ここが曖昧だと「機能は多いのに現場が使わない」状態になりやすいので注意が必要です。
無料トライアルの活用と並行稼働
無料トライアルがあるなら、管理者だけでなく現場リーダーにも触ってもらい、打刻や申請が迷わずできるかを確認します。可能なら紙や既存方法と並行稼働し、集計結果にズレがないかも見ておくと安心です。
おすすめIT製品の「無料版」は、なぜ無料なのか、どこまで無料で使えるのか
従業員への周知とトレーニング
導入後、システムを従業員にスムーズに浸透させるため、周知活動やトレーニングを徹底する必要があります。たとえば、スマホアプリのインストール方法や打刻手順を簡単に説明した動画やマニュアルを提供すると効果的です。また、「なぜこのシステムを導入するのか」という背景を共有することで、従業員の理解と協力を得やすくなります。
導入後の評価と改善
運用開始後は、定期的にシステムの利用状況をモニタリングし、必要に応じて改善を行いましょう。たとえば、打刻漏れが頻発する場合は通知機能の活用を検討する、あるいは従業員への再トレーニングを実施するなど、柔軟な対応が求められます。評価プロセスを組織的に行うことで、システムの効果を最大限に引き出すことが可能です。
勤怠管理アプリを導入する際の注意点
勤怠管理アプリを導入する際は、以下の点に注意しましょう。
- 従業員が操作に慣れるまで時間がかかる場合がある
- 多機能すぎて管理機能を使いこなせないケースがある
加えて、法令対応(客観的記録、残業上限、有休管理)が「設定しないと動かない」製品もあります。導入時は、初期設定の支援範囲(代行の有無)や、運用ルールを誰が決めるかもセットで考えると失敗しにくくなります。
本格導入前にスモールスタートして使い勝手を確かめる方法もお勧めです。小規模シーンや機能は限られるながらも無料で使えてしまう「無料プラン」、あるいは一定期間(30日間など)全機能をお試しできる「無料トライアル」を用意する製品も多くあります。無料トライアルがあるならば、ぜひ遠慮なく試しましょう。
そして製品の本格検討を前に、「自社の働き方と従業員のニーズ」「勤怠管理で抱えている課題」「勤怠管理システムの導入で得たい成果」「使い勝手」「マストで使う機能、あると便利な仕様」などを洗い出し、順位付けしておけるとなおよいでしょう。
よくある失敗と対策
失敗例1:締め日に承認が終わらない月初に申請確認が集中し、管理者が処理できないケースです。
対策として、締め日を部署ごとにずらす、日次で承認する運用にする、アラートで「未承認」を早めに気付けるようにするなどが有効です。
失敗例2:打刻漏れ・申請忘れが減らないシステムを入れても人が忘れると効果が出ません。
前日未打刻の自動通知、ICカードを社員証と一体化、共有端末の設置など、現場に合った「忘れにくい仕組み」を作ることが重要です。
失敗例3:拠点ごとに独自ルールが多く設定が破綻する例外が多いほど設定は複雑になります。
導入は業務標準化のチャンスと捉え、例外を減らし、標準機能で回るルールに寄せる方向で調整すると安定しやすくなります。
推奨14製品のスペック・特徴一覧
ここでは、勤怠管理アプリとして実績があり、紹介しやすい14製品をピックアップしました。料金や提供範囲は変わることがあるため、最終確認は各製品ページで行ってください。
| カテゴリ | 製品名 | 特徴(要点) | 目安料金 | 詳細 |
| 定番・オールインワン | KING OF TIME | 打刻方法が豊富、就業規則対応の幅が広い | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| 定番・オールインワン | ジョブカン勤怠管理 | 必要機能を組み合わせやすい、導入実績が多い | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| 定番・オールインワン | ジンジャー勤怠 | 人事データ基盤と統合しやすい、UIが分かりやすい | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| 定番・オールインワン | freee勤怠管理Plus | freee人事労務と連携、法令アラート運用に向く | 300円/人〜 | 製品詳細ページ |
| 大企業・多機能 | チムスピ勤怠 | 工数・経費・稟議と一体化しやすい | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| 大企業・カスタム | キンタイミライ | 大規模向け、就業規則に合わせた設定・支援が強い | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| 工数管理に強い | e-就業OasiS | 工数管理が標準、導入支援で担当者負担を減らしやすい | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| 低価格・小規模 | レコル | 低価格で必要機能が揃う、始めやすい | 100円/人 | 製品詳細ページ |
| 店舗向け | スマレジ・タイムカード | iPad運用と相性が良い、店舗勤怠に向く | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| 不正対策重視 | 笑顔レコーダー | 顔認証でなりすまし抑止、現場運用に合わせやすい | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| シフトが複雑 | 勤労の獅子 | 変形労働や複雑シフトに強い | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| 法令チェック重視 | MINAGINE勤怠管理 | コンプライアンス視点のチェック、ログ活用 | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| カスタマイズ志向 | 勤怠管理ダービー | 運用に合わせた調整がしやすい | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
| ユニーク・健康経営 | Teasy | PCログなど客観記録、負荷の見える化発想 | 要問い合わせ | 製品詳細ページ |
おすすめ製品紹介
ここからは、選びやすいように「向いている企業像」を添えて要点だけ紹介します。詳細は各製品ページで確認できます。
【定番・オールインワン】迷ったらまずはここから
KING OF TIME(キングオブタイム)
打刻手段の選択肢が多く、業種や拠点が混在しても合わせやすいのが特徴です。サポート手段も含めて「運用で詰まりにくい」かを確認すると良いでしょう。
























