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1万円アップで“かゆい所に手が届く”お風呂テレビ「XF-1000」レビュー(2/2 ページ)

» 2004年06月08日 11時43分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 IEEE 802.11bと聞くと、パソコンの無線LANアクセスポイントと共用できそうな気もするが、同じなのは物理層(DS-SS方式)まで。TCP/IP通信を行わない、XFER専用のワイヤレス仕様となっているため、ほかの機器と共用することはできない。

 この点を残念に感じる人もいるかもしれないが、専用だからこそ、煩雑な設定もなく、簡単に使えることも事実だ。またTCP/IP通信が介在しないぶん、動画伝送時のオーバーヘッドが少なく、動画伝送に適しているという(関連記事)。実際の伝送距離は、家の構造などにも左右されるが、木製のドアが間に2〜3枚あっても接続が途切れることはなかった。

 なお、ディスプレイ部とリモコンには従来機と同じ「呼び出し」ボタンが付いている。これを押すと、リビングルームなどに設置したチューナー部でアラームが鳴り出す仕組みだ。

photo 本体前面の呼び出しボタン。リモコンにもある

 あまり知られていないが、入浴時の事故というのは意外と多く、日本では死亡事故が年間1万4000件以上発生しているのだという。体調がおかしいと感じたとき、家族を呼び出せるボタンがすぐ近くにある。ワイヤレス伝送の仕組みをうまく利用した付加機能といえるだろう。

 また、呼び出しボタンは、ほかにも便利な使い方がある。たとえば、XF-800を購入した知り合いのご家庭では、ダンナが子どもを入浴させたあと、奥さんを「呼び出しボタン」で呼び出し、子どもを引き渡すという連携プレイを実現したらしい。ダンナは、そのあとゆっくり自分の体を洗うことができるというわけ。ただ、お気に入りの番組を見ていると、子どもがなかなか湯船から出なくなるのが悩みらしいが……。

びっくり? のステレオ感

 実際に何日か使用してみたところ、画質は不満のないレベルだった。字幕の文字が背景と似ているときは少しにじんだような印象になるなど、解像感に不足を感じることもあるが、ポータブルテレビとして使える水準は十分にクリアしている。防水仕様のお風呂テレビだからといって、画質が犠牲になっているということはない。

 あと、驚いたのがステレオスピーカーだ。XF-1000には新たにバーチャルサラウンド機能「Spatializer 3D STEREO」も搭載されているのだが、びっくりしたのは普通のステレオ音声のほう。

 バッテリーチェックのため、リビングルーム(といってもワンルームだけど)で何気なくつけっぱなしにしておいたところ、CMが始まった途端、なにやら横のほうから音楽が聞こえてきた。一瞬、携帯電話でも鳴り出したのかと思ったが、それがCMのBGMだと分かり、思わずXF-1000を凝視してしまった。これはいいかも。

 一方、困ったのはそのサイズだ。いや、XF-1000がデカイというわけではなく、自宅のユニットバスが狭いだけ。浴室が狭いと、安定して置ける場所が隅のほうにしかないから、湯船に浸かって優雅に鑑賞とはいかなかった。やはりワンルームマンションに10V型はちょっと贅沢か……?。

photo 風呂場の隅に置かれたXFER。パッケージには壁掛けスタンドも同梱されていたが、やはり賃貸マンションで大げさなことをするのは気が引ける……

 大雑把な目安だが、安定して設置するには幅37〜40センチ、奥行き17〜20センチ程度は必要だと思う。実際、個人的にも心惹かれる製品なのだが、先に引っ越しする必要がありそうだ。しくしく。


 新「XFER」のメーカー希望小売価格は17万円。10型のテレビにしては少々高価だが、8V型の「XF-800」が16万円だったことを考えると、むしろ1万円アップに抑えた点を評価したい(大手量販店の店頭価格は既に14万円前後になっている)。

 従来製品のコンセプトはそのままに、画面が広がり、映像や音も合格点。さらに外部入力が増え、足りなかったキャリングハンドルも付いた。場所がお風呂なだけに、かゆい所に手が届く新XFERは、まさに“買い”(かいー)。

 すみません。引かないでください……。

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