キヤノンは6月10日、デジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss F」を6月下旬より販売開始すると発表した。価格はオープンで、実売価格はボディのみが7万円前後、手ブレ補正付き標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」とのレンズキットが8万円前後と予想される。ダブルズームキットは用意されていない。
EOS Kiss Fは、2006年9月に発売された「EOS Kiss Digital X」の後継機に相当するデジタル一眼レフカメラのエントリーモデル。主なターゲットユーザーは、「EOS Kiss Digital N」(2005年3月発売)やフィルム一眼レフカメラからの買い替え層、およびコンパクトデジカメからのステップアップを検討している層だ。
これにより、EOS Kissシリーズのラインアップは、上位機が2008年3月に発売された「EOS Kiss X2」、下位機がKiss Fの2モデル構成となった。Kiss FはKiss X2の機能を多数盛り込みつつ、撮像素子の画素数や連写機能、液晶ディスプレイのサイズなどで差が付けられている(スペックの違いは下表を参照)。
撮像素子は有効約1010万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを採用。画像処理エンジンはKiss X2と同様に「DIGIC III」を搭載している。連写はJPEGの場合で最高3コマ/秒とKiss X2の最高3.5コマ/秒にはかなわないが、JPEG(ラージ/ファイン)で約514枚、RAWで約5枚まで連続撮影が可能だ。CMOSセンサーからの信号をA/D変換する際の階調は12ビット処理で、Kiss X2と同じ高感度撮影時のノイズ低減機能を持つ。
AFの測距点は、F2.8対応センサーを水平方向に、F5.6対応センサーを水平・垂直方向に配置したKiss X2の9点に対して、Kiss Fでは中央F5.6対応のクロスセンサーを備えた7点となる。被写体の明るさとコントラストを解析して自動補正する「オートライティングオプティマイザ」機能はKiss X2と同様だ。逆光露出アンダーやストロボ露出アンダー時には顔を検出して明るく補正し、AE露出アンダーや低コントラスト時にも適切と思われる明るさに自動補正できる。
液晶ディスプレイは2.5型で約23万画素。ライブビュー撮影機能もKiss X2を踏襲しており、ライブビュー表示が一瞬中断するが高速な「クイックモード」(位相差AF使用)と、速度や精度はやや劣るがライブビュー表示のままAFが行える「ライブモード」(コントラストAF使用)の2種類の方式を選べる。ファインダーはKiss X2と同じ明るさを確保しており、倍率は約0.81倍、視野率は約95%だ。
記録メディアはSDメモリーカード(SDHC対応)を使用。バッテリーはKiss X2で投入された大容量の「LP-E5」を用いており、フル充電で約600枚の撮影が可能だ(常温/ストロボなし)。ボディサイズは126.1(幅)×61.9(奥行き)×97.5(高さ)ミリで、Kiss X2より横幅が2.7ミリ短くなり、ボディのみの重量はKiss X2より約25グラム軽い約450グラムとなった。この重量はEOSシリーズにおいて最軽量だ。
撮像素子の前に付着したゴミを超音波振動でふるい落とすセルフクリーニングセンサーユニットやソフトウェア処理でゴミを目立たなくするダストデリート機能といった総合的なセンサーのゴミ対策機能も引き続き搭載する。
なお、キヤノンは「スピードライト430EX」の後継となる外部ストロボ「スピードライト430EX II」も同日発表した。7月下旬に3万3000円で発売する予定だ。
充電時間を430EX IIの約3.7秒から約3秒に短縮しつつ、上位モデルの580EX IIで採用した新充電方式により充電音を静音化している。また、580EX IIと同様にカメラの液晶ディスプレイを使用した各種設定に対応したほか、ストロボの脚部をモールドから金属に変更して剛性を高め、着脱が容易なワンタッチロック機構や、通信信頼性を高める丸みを帯びた接点を採用するなどの仕様強化を果たした。
43の最大ガイドナンバー、24〜105ミリの照射角、画面サイズ対応の自動ズーム機能、色温度情報通信機能、上90度/右90度/左180度のバウンス対応といった基本性能は430EXから継承している。
EOS Kiss F、EOS Kiss X2、EOS Kiss Digital Xの主なスペック | |||
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製品名 | EOS Kiss F | EOS Kiss X2 | EOS Kiss Digital X |
形式 | ストロボ内蔵デジタル一眼レフAF・AEカメラ | ||
レンズマウント | キヤノンEFマウント | ||
撮像素子 | 22.2×14.8ミリ 有効約1010万画素CMOSセンサー | 22.2×14.8ミリ 有効約1220万画素CMOSセンサー | 22.2×14.8ミリ 有効約1010万画素CMOSセンサー |
映像エンジン | DIGIC III | DIGIC II | |
シャッター | 電子制御式フォーカルプレーンシャッター | ||
シャッタースピード | 1/4000〜30秒、バルブ | ||
AF方式 | TTL二次結像位相差検出(7点測距、EV0.5〜18) | TTL二次結像位相差検出(9点測距、EV-0.5〜18) | |
フォーカスモード | ワンショットAF、AIサーボAF、AIフォーカスAF、マニュアル | ||
測光分割数 | 35点 | ||
ISO感度 | ISO100〜1600相当(応用撮影ゾーンで自動設定可能) | ISO100〜1600相当 | |
ホワイトバランス | オート、太陽光、日陰、くもり、白熱電球、白色蛍光灯、ストロボ、マニュアル | ||
ドライブ(連写機能) | 連続約3コマ/秒(最大514コマ:JPEG Large/Fine) | 連続約3.5コマ/秒(最大53コマ:JPEG Large/Fine) | 連続約3コマ/秒(最大27コマ:JPEG Large/Fine) |
ストロボ調光方式 | E-TTL II 自動調光 | ||
内蔵ストロボ | リトラクタブル、オートポップアップ | ||
ファインダー | ペンタダハミラー使用、アイレベル式 | ||
ファインダー視野率 | 上下左右とも約95% | ||
ファインダー倍率 | 約0.81倍(50mm・∞) | 約0.87倍(50mm・∞) | 約0.8倍(50mm・∞) |
液晶ディスプレイ | 2.5型(約23万画素)、ライブビュー撮影可能 | 3.0型(約23万画素)、ライブビュー撮影可能 | 2.5型(約23万画素) |
記録メディア | SDメモリーカード(SDHC対応) | コンパクトフラッシュ(Type I/II) | |
記録方式 | JPEG、RAW(12ビット) | JPEG、RAW(14ビット) | JPEG、RAW(12ビット) |
記録画素数 | 最大3888×2592ピクセル | 最大4272×2848ピクセル | 最大3888×2592ピクセル |
電源 | リチウムイオン充電池「LP-E5」 | リチウムイオン充電池(NB-2LH) | |
撮影可能枚数 | 約600枚(CIPA基準、ストロボなし/常温) | 約500枚(CIPA基準、ストロボなし/常温) | |
ゴミ対策機能 | 自動、手動、アプリ | ||
サイズ | 126.1(幅)×61.9(奥行き)×97.5(高さ)ミリ | 128.8(幅)×61.9(奥行き)×97.5(高さ)ミリ | 126.5(幅)×65(奥行き)×94.2(高さ)ミリ |
重さ | 約450グラム(本体のみ) | 約475グラム(本体のみ) | 約510グラム(本体のみ) |
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