この連載を担当している編集S氏は、実は生粋の映画マニアで、かつては「映画はプロジェクターで見るべき!」と強硬に主張していたが、いつの間にかパイオニア「KURO」の餌食(?)となり、立派なプロジェクターマニアから立派な大画面テレビマニアへと変わっていった。
確かに、プロジェクターで映像を楽しむためには、スクリーンを準備し、スピーカーとプレーヤー(レコーダー)も別に用意してと、さまざまな“儀式”が必要である。このあたりが面倒で、なかなかプロジェクターの世界に入ってこれないという人もいるようだが、S氏の場合はKUROの圧倒的なコントラスト感にしてやられたようだ。
昨今の家庭向けプロジェクターは、コントラスト性能がかなり向上してきているのだが、プロジェクターのコントラストは周囲の環境によって大きく感じ方が変わる。全体が明るいシーンなら目の瞳孔は開いて黒は引き締まって見えるが、全体が暗くなると瞳孔が開いて黒が浮いたように見えてくる。
もっとも、映画というのは真っ暗なところで大画面で見ることを前提に作られているのだから、本当はそれでもいいのだ。劇場用のデジタルプロジェクターは、せいぜい1500:1から2000:1ぐらいしかない。実際には数万:1というコントラストが必要なわけじゃないのだ。もちろん、コントラストが高くなれば、それだけ絵作りの自由度は高まるから、コントラストが低くてもいい、というわけでもない。
しかし、現在の家庭向けシアター用プロジェクターのほとんどは、コントラストが問題で映画らしい表現ができない、などという基本的な部分での不安はない製品になっていると思う。
加えて、マットな質感のスクリーンに光を当てて映像を映すプロジェクターの絵は、多少、カタい映像であっても、そこにホッとするような優しさを加えてくれる。
「そりゃぁボケてんじゃないの?」というのは、よく聞かれるプロジェクター好きへの陰口だが、実際のところ一般的なテレビ(投写型に対して直視型という)とプロジェクターは、同じ絵を同じような環境で、同程度のコントラストで見ても、質感はかなり大きく違って見える。
映画という独特の世界を楽しみたいなら、やっぱりプロジェクターしかない。実際、筆者も60インチのKUROを使っているものの、映画やスポーツ中継、それに良くできた海外ドラマなどは、主にプロジェクターで見ている。その方が大画面だから……というのも理由の1つだが、やはり画面を見て感じる質感が、投写型と直視型では大きく異なるからだと思う。
ということで、昨年もこのタイミングで紹介したように、今年もプロジェクター製品を紹介したい。ズバリ、注目モデルは三菱電機の「LVP-HC6800」、エプソン「EH-TW5500」、ビクター「DLA-HD950」、ソニー「VPL-VW85」の4モデルだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR