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» 2009年12月17日 08時00分 公開

永山昌克インタビュー連載:ユニット交換デジカメは成功するか?――リコー「GXR」開発者に聞く (2/3)

[永山昌克,ITmedia]

マッチングの取れた完成度の高い画質

――発売はまもなくですが、11月の発表会(リコー、ユニット交換式で“変身”する新コンセプトデジカメ「GXR」 「挑戦する、そのための1台」――リコー「GXR」詳報)以降、どんな反響がありましたか?

福井氏: 大きな反響があり、さまざまな意見を頂いています。新しいことをやったと認めていただく一方で、レンズが資産として残らないことや、当社1社で継続できるのかといった心配も含めて、賛否があることは認識しています。

――将来、レンズだけや撮像素子だけを交換できない不安にどう応えますか?

福井氏: 撮像素子などは今後も進歩していくと思いますが、以前に比べて進歩の度合いは落ち着いてきたといえます。それに、今回発売するカメラユニットでは、1230万画素のCMOSや1000万画素のCCDを採用していますが、ユーザーはこれで不満を感じるでしょうか。当社としては、不満を感じないレベルの1つの画が実現できていると思っています。

 もちろん未来にもっとすごい撮像素子が生まれるかもしれせん。しかし、それはそれでまた新しい画を作ることであって、現在のユニットが陳腐化するとは考えていません。逆に言うと、仮に撮像素子だけを変更して、レンズは昔のものを利用した場合に、その撮像素子の能力やレンズの性能を最大限生かせるのか、保証できる話ではありません。GXRのシステムは、レンズと撮像素子、画像処理エンジンを一体化して、最適な画質を引き出すマッチングを保証しています。

――ユニット着脱の耐久性に不安はありませんか?

福井氏: 1万回以上の耐久試験を行い、十分な精度と耐久性を確保しています。ユニット着脱部は、その形状やスタイル、素材、力量、作動音などに徹底してこだわって作り込んだ部分です。たとえ不必要に着脱を繰り返しても壊れる心配はまずありません。

photo 操作性と拡張性、信頼性などを考慮して生まれたスライドイン・マウント構造

――推定市場価格はやや高めに感じますが。

福井氏: 安くはないと思いますが、値段は最終的にわれわれが決めるものではなく、この商品の価値を市場の中で認めていただければ、自然にふさわしい値段に落ち着くのではないかと思います。それに、たとえばカメラユニット「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」は、光学性能を極めたGRレンズを搭載していますが、他社のグレードの高い交換レンズと比べて高価でしょうか。またボディ側は、マグネシウムの筐体で剛性を出し、ボディ側にもエンジンを載せ、コネクタや電気関係など重要な部品が詰まっています。それらを含めて考えると、当社としては高いとは思っていません。

2つのカメラユニットを使い分ける

――ユニット側とボディ側の役割り分担は?

福井氏: ユニット側にはレンズと撮像素子、画像処理エンジンがあり、JPEG画像になる前段階のデータを作り出します。そして、ボディ側では、ボディ側の画像処理エンジンで圧縮処理をかけてJPEG画像に仕上げ、液晶への表示やカードへの書き込みなどを行います。どこまでをユニット側で、どこからをボディ側で処理するのか、ユニットと本体の中身の切り分けは、開発で特に苦心した部分です。最終的には、大きさや強度、信頼性、効率、余裕度などを考えつつ、もっとも将来的な拡張性を確保できる分け方にしています。

――どんなユニットを想定してボディを設計したのでしょうか?

福井氏: デザインをつめる段階では、最初に出す2つのカメラユニット「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」と「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」、および来年の発売を予定している高速センサーを載せたユニットはすでに決まっていました。ただ、それ以外にも発売の可能性がある、いくつかのユニットを念頭に置いて設計しています。

――最初のカメラユニットに、3倍ズームと単焦点マクロを選んだ理由は?

福井氏: GXRは、従来のGXシリーズの拡張版という位置づけなので、GXと同等の3倍ズーム付きのユニットはすんなりと決定しました。24〜72ミリ相当をカバーし、一般的なユースではこれで十分な撮影ができると思います。従来のGX200と比較した場合は、撮像素子とエンジンを変更したことで、画質はいっそうブラッシュアップしています。

 そして、もう1つのユニットには、当社には今までなかった大きな撮像素子の採用を決めました。そのセンサーサイズを生かすには、背景をボカした撮り方ができる、やや長めの焦点距離、つまり35ミリ換算で50ミリ相当のレンズが最初に出すユニットにふさわしいと考えました。俗にいう標準レンズに相当する焦点距離です。使い方次第で、望遠的にも広角的にもなるユーティリティの高いレンズといえます。

――どんな使い方を想定していますか?

福井氏: 3倍ズーム付きのカメラユニットは日常的なスナップ撮影などを幅広く楽しんでいただけます。それだけではもの足りなく感じる場合や、よりしっかりと撮りたい時は、50ミリマクロのカメラユニットに交換して、コンパクト機でありながら一眼レフのような表現を味わうことができます。もちろん、実際にはお客様が自由な使い方をして欲しいと思います。

photo 新しい撮影スタイルや今までにない世界観を提供するカメラです(福井氏)

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