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レビュー
» 2010年10月27日 00時05分 公開

レビュー:一歩先にいく機能、パナソニック「DMR-BWT3100」を試す(後編) (2/2)

[坪山博貴,ITmedia]
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1層BDに約27時間、さらなる長時間保存が可能に

 本機を含む2010年秋冬モデルでは、ダブルチューナー搭載機では「HBモード」のビットレートが約1.9Mbpsまで引き下げられ、同じ記録容量であればBSデジタルのDRモードに対して約12.5倍の時間を保存できるようになった。このHBモードをフルに使うと、1層BDでは約27時間、2層BDでは約54時間、4層BD(BDXL)では約108時間の番組録画が可能になる。価格のだいぶこなれてきた2層BDメディアなら、毎週放送される1時間ドラマをCMカットなどしなくても1年分は保存できる。もちろん単に画質と引き換えにしたという訳ではなく、「新アドバンスド AVCエンコーダー」の改良により、従来の10倍記録に対して画質面の劣化は少なくなっているという。

 では、その画質はどうだろう。評価に用いた録画モードは、DR、HE(約5.7Mbps)、HL(約4.7Mbps)、HB(約1.9Mbps)だ。

DRモード(左)、約5.7MbpsのHEモード(右)
約4.7MbpsのHLモード(左)、約1.9MbpsのHBモード(右)

 上は、ソニー「BDZ-AX2000」のレビューで評価用に用いたのと同じシーンだ。画面全体に女性の顔が映し出されているシーンを切り取っているが、HBモードでも顔の輪郭はしっかりしており、他の部分もエッジの乱れが非常に少ない。HLモードとの差はやはりはっきりと存在するが、全体に滑らかさ重視でDIGAらしい破たんの少ない絵作りだ。BDZ-AX2000のERモードと比較すると顔の部分の情報量は影が大ざっぱになっていたりと少なめだが、ほかの部分のエッジの乱れは少なく、ブロックノイズも目立たない。もちろんBDZ-AX2000は人の顔を重視した絵作りなのでどちらが良いとは言えないものの、本機の方がまとまりが良いと感じた。

DRモード(左)、約5.7MbpsのHEモード(右)
約4.7MbpsのHLモード(左)、約1.9MbpsのHBモード(右)

 次は比較的動きの少ない自然画。とはいえゆらゆらと揺れる花にとまった蝶が羽ばたいているシーンなので、それなりに動いている。中央の胴体部分はビットレートに応じて描写が甘くなっていくが、コントラストが強めの羽の部分の描写はHBモードでもかなりしっかりしている。羽のエッジの描写は、さすがにHLモードと比較してもHBモードは甘いが、映像全体を見るとほとんど区別はつかないレベルだ。HEモードも約5.7Mbpsというビットレートを考えるとエッジの表現などを含めてかなり頑張っている画質で、映像としてさらっと見ているとDRモードと区別がつかないシーンが多い。

DRモード(左)、約5.7MbpsのHEモード(右)
約4.7MbpsのHLモード(左)、約1.9MbpsのHBモード(右)

 最後は比較的バッドなケース。川面の映像で画面全体で川が流れており、DRモードでも鳥の描写がかなり甘く、HEモードでもすでに川の部分がブロックノイズっぽく見える。HL/HBモードではさらに川の表現が乱れ精細感がなくなり、ブロックノイズがはっきりとしてくる。しかし、鳥の描写は背景に溶け込むことなく、エッジもしっかりして頑張っている。

 ビットレートとして2Mbpsを割り込んだHBモードは得手不得手はあるものの、室内シーンが多めのドラマなどでは十分実用性があり、10倍記録世代と比較してもとくに画質の劣化は感じない。BDメディアが現実的な価格になる中、どこまでビットレートを下げる競争を続けるのかとも思うが、より高画質な録画モードへのフィードバックも多いだろうから一概に無駄ともいえないだろう。実際、約5.7MbpsのHEモードは若干描写の甘さは感じるものの、ビットレート不足による画質の破たん(ブロックノイズ)を感じることもほとんどなく、常用できる印象だ。

 筆者はこれまで、MPEG-4/AVC録画で番組を選ばずに常用できるのは8Mbps以上のビットレートという認識だったのだが、これは改めなくてはならない。そう思わせる進化ぶりだ。

長年の呪縛から解き放たれた記念碑的な2010年秋冬モデル

 本機を含む“DIGA”の2010年秋冬モデルは、BDレコーダーにとって記念碑的なモデルといえる。長年の制約であった1倍速ダビング時のマルチタスク動作が可能になり、デジタル放送をダビングしたBD-R/REメディアからHDDへのムーブも可能になった。もちろん競合各社も次の世代以降の製品で導入が進むと思われるが、とにかく現時点ではDIGAだけだ。ヘビーユーザーはもちろん、マルチタスクの強化はむしろ機械が苦手な層にとってもそのメリットは大きく、家族で使うレコーダーとしての存在価値はますます高まったといえる。

 あえて気になる点があるとすれば、マルチタスクにおいていくつかの例外が残る点(前編を参照)と、関連して制約が残るスカパー!HD録画だ。制約の多いXP〜LP/FRモードでの録画や1倍速ダビングは気にならない人も多いとしても、当面3D放送番組はスカパー!HDが中心になることを考えると、シャープ“AQUOSブルーレイ”のように“3つ目の録画”として制約のない録画動作を可能にしてほしい。そもそもにして放送波をそのまま(暗号化して)記録するだけなのだから技術的にそれほど難しくはないはずだ。

 マルチタスクが強化されることにより、DIGAはさらに万人向けの製品になった。またヘビーユーザーにとっても、使いこなしがいのある製品となっている。もちろん画質面の強化も手を抜いてはおらず、オリジナル(原画)解像度を設定することで高品位なアップコンバートを実現する強化された「アニメモード」や超解像技術など、余念がない。着実に全方位での進化を遂げている。もちろん全ての面においてではないが、競合製品を一歩リードした機能性は2010年秋冬モデルでも健在といえそうだ。

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