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低価格でも3D対応、ソニーのBlu-ray Discプレーヤー「BDP-S470」を試す(2/2 ページ)

» 2010年12月21日 14時16分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 メニュー体系は、例のソニー独自のビジュアル(XMB)で統一されているため、一度でもPS3やソニー製レコーダー、テレビなどを所有したことがあれば一切迷うことはない。各機能の内容も分かりやすく整理されており、これが初めてという人でも少しの慣れで使いこなせるだろう。まず取扱説明書を引っ張り出すことはない、よく考えられた操作性だ。

リモコンのメニューボタンを押すと登場する、メニューのメイン画面。ソニーならではの個性的なGUI「XMB」(クロスメディアバー)をもつ。上下キー+決定+戻るでほぼすべての操作が行える(左)。映像関連の設定メニュー。すべての映像設定がここに並んでいる上、選択すると内容についてのコメントも表示されるためとてもわ分かりやすい(右)

メリハリのあるクリアな映像

 さて、実際の映像クオリティーを検証してみよう。まずは2Dコンテンツから。

 結論をいうと、エントリークラスとしてはなかなかのクオリティーを持ち合わせている。BD「300」では、元々強めのコントラストのダイナミックな表現をそのまま生かしつつも、上手く階調を拾いあげて中間調を中心に細やかに表現。絵のクリア感がいくぶん高まった印象だ。黒方面はそれほど粘りがなく、ある程度から先はストンと落ち込んでしまうが、バランスが良いためのかあまり気にならない。「アンジェラアキ My Keys 2006 in 武道館」など明暗の強いライブものではライティングのまぶしさに物足りなさを感じるが、これは視聴時に使用した「VPL-VW90ES」側の個性だろう。薄型ディスプレイ、なかでも液晶ディスプレイとの組み合わせであれば、このあたりの印象はがらりと変わるはずだ。

映像出力はHDMIとコンポーネント出力、アナログ出力の3タイプを選択できる(左)。音声出力設定のメニュー。HDMIのほか、光出力に対しても細かい設定がおこなえる。こちらを上手く活用することで、HDMI以上に良質な音声出力を楽しむことができる(右)

 動画性能に関しては、可もなく不可もなく。60p変換によって多少スムーズになるが、映像の動きの速い遅いによってスムーズさにムラが生じるため、あまり見栄えは良くない。24p収録のコンテンツに関しては、そのまま24pで再生する方が好ましいように感じる。逆に地上デジタルやBSなどの放送波、なかでも元々60iで製作されたと思われるバラエティ番組などでは効果的で、カメラのパーンぼけなどが多少すっきりしてくれる。60p変換に関しては、放送波でのみ使うのが望ましいように思う。

 続いて試聴した3Dコンテンツは、映像をしっかりと余すことなく再生しているというイメージ。東芝製プレーヤーのような超解像的な機能は持ち合わせていないため、解像度の甘い部分はそのまま残るが、逆に言えばそれはありのまま再生しているということ。凄さはないが、最新フォーマットを十全に楽しめるという点では評価できる。

 このように、映像面では、高級レコーダーまでには至らないものの、普及クラスのレコーダーとは一線を画すレベルを持ち合わせている。やはりこのあたりは、単機能ならではの有利さといえるだろう。

音質的には及第点

 いっぽうの音声はというと、こちらもレコーダー比で普及クラス以上、高級モデル以下という印象を持った。「アンジェラアキ My Keys 2006 in 武道館」では、ピアノの高音がストレスなくキレイに伸びあがっていたものの、中域、特にボーカルの力強さがもう一息で、存在感が希薄な傾向がある。解像度感もいまひとつ。このあたりは、HDMIケーブル1本で映像と音声を出力する限界なのかもしれない。リニアPCM収録のライブビデオを頻繁に見るという人は、別途用意されている同軸デジタル出力を使い、AVアンプなどに接続した方が良さそうだ。

SACDはステレオとマルチの両対応となる。音質の良さに定評あるSACDだが、マイナーなフォーマットだけに正式対応してくれている点はありがたい限りだ

 ちなみに同軸デジタル出力では、HDMI接続に対して解像度感としては多少の向上にとどまっていたものの、雑多な印象が弱まり音にストレートさが増し、力強さが感じられるようになる。設定変更は多少手間だが、音楽を存分に楽しみたいという人は、是非この方法を試して見ることをお勧めする。

 このようにBDP-S470は、エントリークラスのBDプレーヤーという、予算的にかなりシビアな制限をもちながらも、プレーヤーとしての能力を高めるべく、ごくまじめに作られた良質な製品だといえる。同社(系列というべきか)にはPS3という製品が存在していて、その資産が生かせると同時に、きちんとした差別化をはかる必要があったはず。開発陣はそういったハードルを正面から見据えたのだろう、結果としてBDP-S470は、立ち位置のはっきりした、キャラクターの際だった製品となっている。

 製品の個性が分かりやすければ、選びやすさや使いやすさにも繋がる。こういった明快な製品作りには、大いにエールを送りたい。

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