次にテストしてくれたのが「ケーブルの設置方法」。スピーカーケーブルを床へ直接に置く(いわゆる一般的な方法)か、木材のインシュレータを使い、床から浮かせた配線方法にするかで音の違いが表れるかを聞き比べたところ、WAVとAIFFほどの差はないにしろ浮かせた配線のほうが雑味の少ない、整然とした音になった。……ここまで来ると普通はオカルト話直行であるのだが、小話なので許してほしい。
これには、いろいろな要因があると思う。想像がつくポイントもいくつかあるのだが、筆者としては追求できているわけではないのでここでは現象を紹介するだけにとどめるが、このリスニング環境において、配線の仕方次第で微妙に音が変わると感じたのは事実だ。
もう1つ、これも「うそぉ?」という現象をあくまで一例として紹介する。PCオーディオにおいては「接続するキーボード」でも音が変わるという。エミライのオーディオPC「acroama」用オプションとしてあえてPS/2接続のキーボードを用意しているが、これがまたおもしろい効果を見せてくれる。
見かけはひと昔前、薄ベージュ/クリーム色の時代のスタンダードな単機能PS/2キーボードである。専用のPS/2ケーブルに換装し、内部にノイズ対策を施した。USBでないのもこのためなようで、ワイヤレス/高機能/多ボタン化など一般PC用途とは進化の方向がまったく異なる「オーディオPC用」の特製品に仕立てている。
信じられないが、明らかにSN感が違う。しかもその差はかなり顕著であった。島氏いわく「USBはできるかぎり使わないほうが、音質にとって有利な場合が多い」という話である。レーシングカーで例えるミリ単位のセッティング的なことと似ている気がした。
オーディオって、本当にフシギで、おもしろい。個人の趣味なので、好きな音楽をできるだけ心地よく楽しみたい──を基本に、何が要因かを知りたくなるし、どうすればさらによくなってくれるかをあれこれ考える楽しみがある。ケーブルの置き方やファイル形式の違い、キーボードの種類などは手軽にテストできるだろうから、興味があればぜひ試してみてほしい。
もちろん、音が変わるとはいっても、必ずしもよくなるわけではないこともまた1つの事実。これがオーディオの奥深さと楽しさ、おもしろさ、クセになる部分である、ということで今回の小話を締めたい。
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