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大幅に機能強化した「Sony Tablet S」&「BDZ-AT950W」を試す(前編)BDレコ×タブレットを大検証(2)(3/3 ページ)

» 2012年06月06日 23時40分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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外部機器連携でも威力を発揮する強力なマルチタスク機能

 本機に限らず2010年秋冬以降のソニーBDレコーダーで共通の魅力となっているのが強力なマルチタスクだ。BDレコーダーのマルチタスク性ではパナソニックの“DIGA”(ディーガ)シリーズが先行し、3番組同時録画中でも画質変換ダビングまで可能と、現在でもトップクラスの機能を持っている。

 ただし、パナソニック製品はMPEG4/AVCストリームは同時に2つしか扱えないため、例えば同時3番組録画で全てMPEG4/AVC録画モードの場合、1番組はDRモードで代替録画し、電源オフの状態で画質変換を自動で行う仕組みだ。また、番組持ち出しでもワンセグ画質(QVGA)なら録画と並行して持出し用データの作成が行えるものの、高画質(VGA)はやはり電源オフの状態で画質変換ダビングを自動で行う。例えば、早朝5時からのニュースを1時間録画して持ち出す場合、画質変換にはおおむね録画時間分が必要なので、最短でも7時にならないと出発できないことになる。

 一方、本機や兄弟機では内蔵チューナーと同じ数のMPEG4/AVCストリームが扱えるうえ、さらに持ち出し番組用のストリームも同時に処理できる。つまりダブルチューナーの本機なら2番組をMPEG4/AVCで同時録画しつつ持出し番組も同時に作成されるのだ。録画が終わっていれば持出し番組はすぐに持ち出せる。

 さらにもう1ストリームの処理が可能であり、2番組同時録画+持ち出し番組作成中にBD-ROM(市販BDソフト、3D対応含む)の再生、ソニールームリンクでの録画番組配信などが行える。録画中のダビングは高速ダビングのみとなるが、そもそも画質変換ダビングは時間のかかる作業なので即時性を求める人は多くないはずだ。

高速録画転送を入に設定しておくと全ての録画と同時に番組持ち出し用の動画も作成される。全体で「入」「切」なのは要するにほかの動作に影響されないからだ

 このように本機のマルチタスクは、同時に実行できる機能の数ではディーガに見劣りするものの、リアルタイム性の高さは魅力的で程よくバランスされている。本機の場合、ケータイやスマホだけでなく「PSP」や「ウォークマン」(対応製品のみ)にも対応しており、実際に利用するユーザーの数も高いため、リアルタイム性にこだわる必要性があったのではないだろうか? とりあえず、番組持ち出しを多用する人にとって、本機はかなり魅力的な選択肢になるだろう。

マルチデバイスに対応するネットワーク連携

 ネットワーク連携は、従来通り「ソニールームリンク」としてDLNA+DTCP-IPによる録画番組や放送中番組の配信が可能だ。放送中番組の配信には空きチューナーが1つ必要となるが、電源をオンすると視聴用としてチューナーが1つ“利用中”になることに注意したい。つまりWチューナーモデルである本機の場合、電源オフで2番組同時録画中、電源オンで1番組録画中という状況では放送中番組の配信が行えない。もっとも、このあたりの制限は同じく放送中番組の配信に対応したディーガの2012年モデルでも同じだ。

 そのほかネットワーク関連では、「アクトビラ」や「TSUTAYA TV」といった動画配信サービスもサポートしている。ただし、「ソニールームリンク」のクライアント機能(プレーヤー)は従来通り搭載していない。同社の場合、テレビへのクライアント機能搭載率が高く、さらにPCのVAIOシリーズ(VAIOホームネットワークビデオプレーヤー搭載モデルなど)、Playstation 3、そして「Sony Tablet」など数多くの製品がクライアントとして機能する点も影響しているのかもしれない。もっともクライアント機能もあれば便利なことは間違いないし、家族がBDレコーダーを購入する時にソニー製品を選ぶきっかけにもなるはず。正直、XMBにうまく融合する形で搭載してくれないかな、と思う。

 「torne」(トルネ)との連携も面白い。トルネを接続したPS3から番組表を使ってレコーダーに対して録画予約行ったり、本機の録画番組を再生するといったことが可能だ(「レコ×トルネ」機能)。トルネはPS3に地デジ録画機能を追加するデバイスだが、録画機能以上にユーザーインタフェースのデキの良さが高く評価されており、それがそのまま活用できる。こういったマルチデバイスでの連携はソニー製品らしい部分といえるだろう。また、7月発売の「nasne」(ナスネ)と併用して同時録画数を増やすこともできる。

スマートフォンなどからのインターネットを経由しての録画予約などにも対応。本機への登録も操作する端末で取得した数字のIDを登録するだけと非常に簡単。英数字の混じったIDやパスワードを入力しなくて済むのは便利だ

 後編では、OSのアップデートで進化した「Sony Tablet S」、そしていよいよネットワーク連携の詳細を紹介していく。


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2番組同時録画とハードディスク増設機能を兼ね備えた大容量ハードディスク搭載モデル。6万9800円(税込/6月7日現在)


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