かつてはプロミュージシャンの仕事道具だったカスタムイヤーモニター(以下、イヤモニ)が変わろうとしている。10月27日に東京・青山で開幕した「秋のヘッドフォン祭 2012」では、新たなユーザー層を開拓しようとする動きを見ることができた。
「FitEar」(フィットイヤー)ブランドの須山歯研は、今年春に耳型採取を必要としないユニバーサルタイプの高級カナル型イヤフォン「FitEar TO GO! 334」を投入するなど、積極的に市場を広げてきた。そして今回のヘッドフォン祭に合わせて発表されたのが、アニソン好きのためのイヤモニ「MONETー萌音ー」。バランスドアーマチュア型レシーバーを4つ搭載した3Way・3ユニット・4ドライバー構成で、アニソンのベースラインの明瞭(めいりょう)化、ボーカル帯域のバランス取りといったチューニングが施されている(→詳細は関連記事を参照)。価格は15万7500円と決して安くないが、「カスタムイヤーモニターという製品の認知が広がることを期待しています」(同社)。
なお、試作機には「MONETー萌音ー」と書かれているが、本来はユーザーの名前を入れる部分であり、実際の製品にロゴは入らないという。「ロゴが入らないことについては、残念だという人もいれば、そうではない人もいます。最初は“FitEar”ブランドにするかどうかも迷ったくらいです」。なぜ迷ったのかはあえて聞かないが、好きな人にはたまらないアイテムになることは間違いない。
一方、カナルワークスではバランスド・アーマチュア型ドライバーを4基搭載した新モデル「CW-L05QD」を10月27日に発売した。価格は10万円を切る9万9800円。同価格帯には3Wayの「CW-L51」も存在するが、今回はドライバー構成が大きく異なる。
「CW-L05QDは、フルレンジのBAドライバーだけを4基搭載したモデル。クロスオーバーがなく(=クロスオーバーひずみが発生しない)、音圧感度が向上するメリットがあります」と同社の林一博代表。「3Wayタイプなどは音圧を出すためにストローク(駆動振幅)を大きくする必要があり、ひずみも発生します。対して、フルレンジを4つ重ねることで、無理なく音圧を確保できます」。その音は解像度が高く、とくにクラシックやビッグバンドジャズなど大編成の楽曲に向いているという。インピーダンスは24オームで、音圧感度は105dB。もちろんケーブルは着脱式だ。
「スピーカーにもフルレンジのファンは多い。3Wayタイプとはまた違った層に訴求できると思います」(同氏)。
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