JVCケンウッドは4月24日、ヘッドフォンの新製品「HA-SZ1000」および「HA-SZ2000」の2機種を発表した。昨年11月に発売したカナル型イヤフォン「HA-FXZ100/FXZ200」に続く「ライブビートシステム」搭載の新コンセプト製品。5月下旬に発売予定で、価格はオープン。店頭ではベースモデルの「HA-SZ1000」が2万5000円前後、プレミアムモデル「HA-SZ2000」は3万5000円前後になる見込みだ。
ライブビートシステムのコンセプトは、「複数のユニットを用い、全帯域にわたる最適化を行う音響システム」。今回の場合、中高域用に新開発の30ミリ径カーボンナノチューブ振動板を、また低域用に55ミリ径というヘッドフォンとしては最大クラスのカーボン振動板を採用し、360キロジュールというネオジム磁石と組み合わせている。
ネットワーク回路は使用せず、音響的にユニットごとの周波数帯域を分けるアプローチは昨年の「HA-FXZ100/FXZ200」と同じ。HA-FXZシリーズではスピーカーに使われるケルトン方式を応用した仕組みで注目を集めたが、今回はさらにダブルチャンバー(2つの空気室)とダブルバスレフ構造が追加されている。
ケルトン方式は、ドライバーの前後を筐体(きょうたい)で覆い、チャンバーからのみ音を出すことで中高域を音響的に減衰させる技術だ。しかし、同社シニアエンジニアリングスペシャリストの三浦拓二氏によると、初期の試作機では中高域が多めに出てきてしまったという。「HA-FXZシリーズでは内径0.4ミリという“針”のようなダクトを使用したが、今回は低域の量感を出すために4〜8ミリのダクトを使っているため、太すぎて中高域も出てしまった」(三浦氏)。
そこで考えたのが、2つの空気室とダクトを用いて「一度減衰させた中高域をもう一度減衰させる」というダブルバスレフ構造だった。これにより、HA-SZシリーズではストリームウーハーから出る中高域を大幅にカット。300Hz付近で中高音用ユニットとストリームウーハーDBの周波数特性がクロスオーバーし、総合特性としてフラットに近い特性を出すことに成功した。「リアルな重低音と解像度の高い中高音を両立できた」(三浦氏)。
プレミアムモデルに位置付けられる「HA-SZ2000」ではさらに、ウーファーを固定するユニットホルダーの外側に“真ちゅう製の制振シリンダー”を設け、余分な振動を排除するとともに音色の調整を行った。またコードの芯線を純銀でコーティングしたOFC線を採用。伝送ロスを抑え、全体域にわたって解像度が高まるという。このほか、ヘッドパットに通気性に優れたメッシュ素材を採用、また耳のムレを軽減するプロテインレザー製イヤーパッドを採用するなど、装着時の快適性にもこだわっている。
発表会であいさつに立ったJVCケンウッドのホーム&モバイル事業グループ音響事業部の宮本昌俊事業部長は、同社製ヘッドフォンの台数シェアが英国で4年連続の第1位、米国でも第2位といったポジションを獲得していることを報告し、さらなるシェア拡大に向けて「今年は新商品の投入を加速し、パブリシティや店頭演出といった市場への投資も拡大する」と意欲を見せた。
「目標は2015年に台数シェア15%。“原音探求”の開発はぶれず、スマートフォンなどライフスタイルの変化に応える新コンセプトのヘッドフォンを“連打”することで、市場の拡大と単価アップを図る」(同氏)。
型番 | HA-SZ2000 | HA-SZ1000 |
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型式 | ダイナミック型 | |
再生周波数帯域 | 4〜3万5000Hz | 5〜3万3000Hz |
感度 | 108dB/mW | 107dB/mW |
インピーダンス | 16オーム | |
最大許容入力 | 1500mW | |
コード | 1.2メートル銀コートOFC線 | 1.2メートルOFC線 |
プラグ | 3.5ミリステレオミニ(金メッキ) | |
重量 | 480グラム | 450グラム |
付属品 | キャリングポーチ | |
実売想定価格 | 3万5000円前後 | 2万5000円前後 |
発売日 | 5月下旬 | |
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