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4K機器の“落とし穴”――4Kプレミアム映像の音に注目本田雅一のTV Style(2/2 ページ)

» 2014年08月08日 17時22分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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4Kプレミアム映像の音はどうすれば聴ける?

 問題は”音”の伝送経路だ。

 HDMIを通じて接続する場合、その中には映像と音が混在して送り出される。1本のケーブルで絵も音も出るわけだ。この点は4Kでも全く同じだが、HDCP 2.2に対応した機器であることを求められる。

 つまり、AVアンプを使ってサラウンド音響を楽しんでいる方、あるいはHDMI対応サウンドバーでテレビの音質を改善している人。こうしたユーザーは、音響機器側もHDCP 2.2に対応していなければ、それら音響機器を通じて4Kテレビへと接続できないことになる。

「TU-UD1000」の背面端子

 ところがHDCP 2.2対応LSIは、ディスプレイ用はあってもオーディオ製品に使えるものがつい最近まで存在しなかった。今年後半に出てくる新製品は、HDCP 2.2にも対応してくるのでは? と思っているが、世の中にあるHDMI対応オーディオ製品の大多数はHDCP 1.4にしか対応していないと思っていい。

 ”これを買い替えろというのか!?”と、メーカーに怒りをぶちまける人も出てくるかもしれないが、メーカーもそうした状況を産みたいわけではない。より安全な経路で接続しなければ映像を流してはいけませんよ、と映像の権利を持つ側が譲らないのであれば、対応する機器を素早くラインアップするほかに手はないのだ。

 では絶望的か? といえば、実は回避する方法がある。北米では昨年から、ソニーが4K映画をダウンロードできるネット対応STBを発売していた。この製品も、当然ながらHDCP 2.2に対応しているのだが、実はHDMI出力を2個持っており、片方をオーディオ専用出力として、”4K映像をHDMIケーブル上に載せない”ことでHDCP 1.4でオーディオを出力。もうひとつのHDMI出力からHDCP 2.2でディスプレイに4K映像を送り出す仕組みだ。

 言い替えれば、HDMI出力が1個しかない(あるいは2個あってもオーディオ専用出力を持たない)機器は、音の出力で問題を抱えているといっていいだろう。もちろん、接続先にオーディオ機器がなく、テレビのスピーカーから音も再生するのであれば問題はない。しかし、せっかく映像が美しくなったのであれば、音もより良い機器で楽しみたいと思うのは当然のことだ。

 残念ながら、現在発売されているシャープの4K試験放送対応チューナー内蔵レコーダー「TU-UD1000」には、HDMIが1系統しか備わっておらず、筆者宅でも4K映像は楽しめても音が出ない……という悲しい状況だ(プロジェクターのためディスプレイから音が出ない)。もちろん、そうなることは分かった上で4K放送の品質確認のためにつないでいるのだが、何も知らずに購入する方にとっては、大きな落とし穴だと思う。

ソニーが秋に発売する4K試験放送対応チューナー(写真はモックアップ)

 これだけ”大きな穴”。HDMI出力を工夫するだけなので、なるべく早く塞いで、今後の製品は余分な知識なく購入できるようにしてほしいものだ。ちなみに筆者の得た情報によると、発売が予定されているソニー製チューナーには2つのHDMI端子が存在するようだ。

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