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ソニーのプレミアムヘッドフォン「MDR-1A」を前モデルと徹底比較――「PHA-3」とのバランス接続も試すハイレゾ対応ヘッドフォン検証(5/5 ページ)

» 2014年11月25日 17時00分 公開
[山本敦,ITmedia]
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アンプとのバランス接続に挑戦

 今回はさらに「MDR-1A」に付属するヘッドフォンケーブルだけでなく、ソニーから発売されたバランス接続用の交換ケーブル「MUC-S20BL1」を使って、「PHA-3」にバランス接続したサウンドも聴いてみた。

バランス接続用の交換ケーブル「MUC-S20BL1」

 ケーブルの長さは2.0メートルで、ヘッドフォン側が金メッキ処理の4極ミニプラグ。アンプ側は金メッキ処理の3極ミニプラグ×2の仕様になる。太さの異なる複数種類の素線を最適な比率で撚り合わせた「マルチゲージコンダクター」により、伝送ロスが帯域別に最小限となるようにコントロール。低域から高域まで透明感の高いサウンドとした。また内部は往路と復路の導体を互いに撚り合わせ、電流が流れることで外部に発生する磁束をキャンセルして伝送ロスを低くする「ツイストペア構造」を採用。これにより、外部からケーブルを貫通する磁束によって生まれがちな電流ノイズの影響を避け、高解像なサウンドが実現される。

ヘッドフォン側は金メッキ処理の4極ミニプラグ

ケーブルの被覆は布製

 全体に立体感と、S/Nがグンと高まり、左右のセパレーションと定位が明確さを増す。ボーカルの音像が中央にくっきりと浮かび上がり、それを取り囲む楽器も立体的な位置関係を築き上げる。低域から高域まで音のつながりも一体感を増す。ジャズピアノはアタックの立ち上がり・立ち下がりがいっそう俊敏になり、ピアニストの指先の動きや鍵盤に触れるタッチが鮮やかに蘇える。ボーカルの定位や楽器との距離感など空間情報が緻密になり、演奏の緊張感が劇的に高まる手応えが得られる。

アンプのバランス出力に接続

 バランス接続の効果は、やはりオーケストラの楽曲再生に最も高く効果が感じられる。弦楽器の張りやピアノのしなやかさなど、そえぞれの楽器の音色が持っている特徴が強調され、生っぽさが引き立ってくる。分解能の高さや、音の密度感、正確さなど全ての要素がレベルアップすることで、まるでホールに身を置いて聴いているかのようなリアルな感覚が得られる。

 ケーブルの市場想定売価は8500円前後とリーズナブルなので、もしも「MDR-1A」と「PHA-3」のセットが手元にそろったならば、次のステップとしてバランス接続にはぜひトライすべきだと思う。

ヘッドフォンにケーブルをつないだところ

ハイレゾの進化に合わせて発展できるのも「MDR-1A」の魅力

 「MDR-1A」は前機種の「MDR-1R」と比べて着実な進化を実感できる、ハイレゾに全力で取り組むソニーの本気度がしっかりと伝わってくるプレミアムヘッドフォンだ。両者の違いは発展性にも見られる。「MDR-1A」は単にリケーブルに対応しているだけでなく、ポタアン「PHA-3」にバランス接続ができるようになったことで、より一層高いレベルのハイレゾ再生が体験できる魅力を持っている。今後ソニーから発売されるであろう、バランス接続対応のオーディオコンポーネントと組み合わせたシステム展開も楽しめそうだ。”初めてのハイエンドヘッドフォン”を探している方や、「MDR-1R」からの買い増しを検討している方にとっても間違いなく買う価値があるといえるだろう。

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