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年に一度の総決算! 「麻倉怜士のデジタルトップ10」(後編)麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(3/3 ページ)

» 2014年12月30日 10時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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第2位:「ライカX」

 私はライカのカメラが大好きです。峻厳な描写力とすっきりとした色使い。階調もすごくいい。日本メーカーとは違うテイストです。

「ライカX」

 個人的に「ライカX2」をずっと使っていました。APS-Cセンサーを搭載した高級コンデジで、固定焦点レンズのシンプルなしつらえです。旅行とかでは必ずお供にしていましたね。一方でズームレンズ付きの「ライカXバリオ」も使ったことがありますが、重くてレンズが暗いのでいまひとつでした。そんなときに「ライカX」が発売されたのです。レンズは35mm(35mm判換算)の固定焦点ですが、F2.8からF1.7へと2絞りぶん明るくなり、暗部のノイズがすっきりとしてレンジ感が出てきました。

 もう1つ、画作りも違いました。これまでは狭いダイナミックレンジの中で階調性で勝負するという面がありましたが、今回は黒が締まり、白も明るくなっているのに階調性は緻密(ちみつ)なままなのです。色再現は彩度が少し上がりましたが、上品で、肌色の描写は本当に美しい。


 無理な強調はせず、あるがままの表現で、ハイレゾという感じの描写力です。このため、ライカXは今、メインのカメラとして使っています。重量があるため常時持ち歩くわけにはいきませんが、近所で雨上がりの朝の風景を撮影したりして楽しんでいます。河口湖の紅葉、箱根のガラスの森美術館のクリスタルなクリスマスツリーなど、撮影に行きました。ライカは、シビアに現実を残すカメラですが、このカメラはそこに詩的な要素を加えて見せてくれるのが良いところだとしみじみと感じています。

第1位:パイオニア「BDP-LX88」

 2014年のデジタルトップ10、第1位はパイオニアが6年ぶりに投入した本格ユニバーサルプレイヤー「BDP-LX88」です。

パイオニア「BDP-LX88」

 過去数年、ユニバーサルプレイヤーの分野は米OPPO Digitalの独壇場でしたが、ようやく国内メーカーからも登場しました。ほんの5〜6年前にはソニー「BDP-S5000ES」やパイオニア「BDP-LX91」などフラグシップモデルがありました。パナソニックも海外では高級ユニバーサルプレイヤーを販売しているのに、国内では販売していません。過去数年、国内メーカーは日本市場に対して冷淡でした。

 パイオニアは1981年にレーザーディスクを始めたビデオディスクのメーカーです。2008年に登場した「BDP-LX91」は、その年のデジタルトップ10で1位になっています。わが家はいまだにメインのBDプレイヤーは「BDP-LX91」のまま。もちろん、ゆくゆくは4K BDにするつもりですが、その前にフルHDのBDプレイヤーで良い物が出てほしいと思っていたら出てくれましたね。

 「BDP-LX88」では、パイオニアの技術に加え、メディアテックのメディアソリューションやパナソニックの超解像技術など、他社の技術も取り込んでいます。「BDP-LX91」と比べてみたところ、映像は全く違います。4Kプロジェクターで視聴してみましたが、まるで映像の粒子サイズが従来の1/10くらいになったような精細感です。2Kをプロジェクターでアプコンしたときもそう思ったのですが、「BDP-LX88」でアプコンしたものはもっとすごかった。しかも小気味良い、躍動感を感じる粒子です。従来のBDプレイヤーとは一線を画したといえるでしょう。音については「BDP-LX91」の安定感に対してはちょっと軽い印象ですが、解像感と階調感、情報量が多いです。

右側に見える青い基板がDAC部

 また、SACDも再生できるようになりました。音声出力は、マルチチャンネルはHDMIですが、2chはバランス出力に対応しています。しかもESSテクノロジーの高級DACを使っています。パイオニアは、現在考え得る最善の策をとったといえるでしょう。

 「BDP-LX88」の画質と音質には感動しました。そもそもBDは日本発の技術です。ディスクメーカーであるパイオニアは、責任をもって高級機を出してきたといえるでしょう。ほかのメーカーにも見習ってほしいものですね。

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