三菱電機は、RGB半導体レーザーを使い、BT.2020のカバー率98%を実現した50インチ4K液晶ディスプレイを参考展示している。これは、5月の「NHK放送技術研究所一般公開」でも展示されたもの。直進性の高いレーザーをバックライトとして利用するため、両サイドにレーザー光源と導光体を置き、さらにパネル全面に設けた拡散材で「点を面に広げる構造」(同社)となっている。
広大な色域を持つBT.2020がレーザー光源を想定して作られたという経緯もあり、同社は当初、100%カバーを目指して開発していた。しかし、液晶プロジェクターと異なり、液晶テレビにはカラーフィルターが不可欠。そこで誤差が生じ、カバー率98%にとどまったという。それでも展示機を見れば発色の違いは一目瞭然で、展示ブースには次世代の色を見ようと長い行列ができていた。
同社では、まずスタジオのマスターモニターなど特定業務用に提案する方針。「BT.2020の規格は決まっても、今のところ表示できるモニターが存在しない。三菱は自社でモニターは作っていないため、セットメーカーと協業する可能性もある」。一方、気になる民生機への応用については、「緑色の半導体レーザーが高価で、当面はコスト的に見合わないだろう」と話している。
今回のCEATECに初めて出展したメーカーの1つに、中国BOEの日本法人がある。同社はNHKと共同開発した98インチ8Kディスプレイをはじめ、高精細の大型液晶パネルを得意。展示ブースは「BOE 8K」を全面に押し出し、またブース内には中国で販売している自社ブランドの4Kテレビ「BOE Alta」が置かれるなど意欲的な内容だ。同日、日本法人のWebサイトもオープンした。
しかし同社によると、日本の民生機市場に参入する予定はないという。「BOEのコアビジネスは液晶パネルで、日本でも10社以上と付き合いがある。各メーカーからOEMの話もあり、完成品を供給する可能性はあるものの、自社ブランドで民生用テレビを展開することについては慎重に市場を見極めたい。まずはB2B市場で8Kディスプレイを展開し、ブランド認知を上げていく」。8Kパネルはデジタルサイネージや医療用など特定業務用として販売していく方針だ。
「CEATEC JAPAN 2015」の会期は10月10日(土)まで。開場時間は10時から17時となっている。
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