国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は4月20日、東京・お台場の日本科学未来館常設展をリニューアルオープンする。日本科学未来館が2001年にオープンして以来、初の本格的なリニューアルとなり、常設展に6つの新しい展示を追加する。
新たに加わった展示で一番の注目株が、3Dドームシアターで上映する映像作品「9次元からきた男」だ。この作品は、「呪怨」「魔女の宅急便」などを手掛けた清水崇監督による作品だ。監修にはカリフォルニア工科大学教授の大栗博司氏を迎え、科学的な根拠を保証している。
9次元とはなにか、という厳密な説明は筆者の手に余るが、物理学の究極の目標である「万物の理論」の最も有力な仮説、「超弦理論」を説明するための次元数であるということだ。超弦理論は、素粒子より小さな世界を説明する理論であり…… 9次元のうち、われわれの目に見えない6次元はこの小さな世界におりたたまれている…… ということらしいが、詳しいことは専門書を読んで頂きたい。
このように超弦理論、9次元というのは厳密に理解しようと思うと大変難しいが、『9次元からきた男』は子供から大人まで幅広い層に超弦理論について分かりやすく、体感してもらうことを目的に作られている。以下は撮影が可能だった作品の一部デモ映像だ。
これはドーム状のシアターで上映するため、感覚としてはVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して鑑賞している状態に近い。そのため、没入感が一般的な3D映画よりも強く、素粒子などが自分の周りを実際に飛び交っているかのような錯覚にとらわれる。
作品内容に関してはストーリー、VFXともにこだわっており、特にVFX面ではさまざまな素粒子がシャワーのように飛び交う様子や、「ひも」による物質の構成、6次元物体である「カラビ・ヤウ多様体」の映像化など、目を見張るものがあった。
リニューアルオープン全体のあいさつで、日本科学未来館 展示企画開発課課長の内田まほろ氏は「未来館で体験して終わりではなく、このある種の『トラウマ経験』を日常に持ち帰ってほしい」と語っていたが、確かに作品中に1カ所、「これは(否定的な意味ではなく)トラウマになるかもしれない」と思う場面があった。あの場面は早々忘れないだろう。上映時間は30分とのことだったが、あっという間だったと感じるほど夢中に見てしまった。
ドームシアターの観覧方法は当日受付の先着順での予約、もしくは事前にWebで予約の2種類がある。鑑賞料は大人が300円(税込、以下同様)、18歳以下が100円だ。当面は混雑が予想されるため、「9次元からきた男」を見たいのであれば、事前のWeb予約をおすすめする。
一般公開は4月20日からで、開館時間は10時から17時。休館日は毎週火曜日と12月28日から1月1日。入館料は大人が620円、18歳以下が210円だ。なお、2016年4月20日から4月24日まで、リニューアルを記念して常設展入場料、ドームシアター鑑賞料ともに無料となる。ゴールデンウイーク前の休日となるが、この機会に行ってみてはいかがだろうか。
その他の新しい展示等についてはまた別の記事で紹介しよう。
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