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パナソニックの有機ELテレビは2シリーズ!――55V型は50万円前後に

» 2017年05月10日 12時59分 公開
[ITmedia]

 パナソニックは5月10日、日本国内向けとしては初となる有機ELテレビ「EZ1000」および「EZ950」シリーズを発表した。大画面有機ELテレビを発売するのはLGエレ、東芝、ソニーに続く4社目。1月の「CES 2017」で披露された製品が出そろうことになった。

サウンドバー付きのフラグシップモデル「TH-65EZ1000」。もっとも薄い部分で6.7mm。背面上部にはヘアライン加工、下部には革調のシボ加工を施した

 EZ1000は「ビエラ史上最高画質」(同社)をうたうフラグシップモデルだ。ソニーや東芝と同じくLGエレクトロニクス製の有機ELパネルを採用しているが、829万画素(4K)を1画素単位で制御できる有機ELパネルに新しい映像処理エンジンを組み合わせた「ヘキサクロマドライブPLUS」を新たに採用。映像の暗い部分に発生しがちなノイズを抑えて豊かな階調表現を、また極端に明るい部分の周囲に起こる色帯の発生を抑えるなど、拡大したダイナミックレンジを生かしつつパネルの弱点をつぶしていく手法で画質を磨いた。「プラズマテレビで自発光方式を知り尽くした当社ならではの巧みなチューニング」(同社)

 色のチューニングには独自開発の測色ツールを用い、測定と調整を繰り返し行った。さらに輝度による色の誤差を最小限に抑えるシミュレーションにより、色の組み合わせを調整して色のズレを補正。「業務用マスターモニターに極めて近い、忠実な色再現が可能になった」としている。BT.2020の色再現には、業務用マスターモニターにも採用されている3D-LUT(ルックアップテーブル)補正を用い、有機ELテレビ用に変換精度を突き詰めて中高輝度域はもちろん、低輝度領域でも忠実な発色を実現したという。

 さらにHDR信号を16bit処理で輝度信号に変換することで階調を間引くことなく再現するという「暗部階調スムーサー」を搭載。パネル表面には映り込みを抑える「ブラックフィルター」を備えている。

EZ1000のスタンド部はサウンドバーになっている。テレビ画面を支える支柱は中央部のみだ

 もう1つの特徴は、スタンドを兼ねたサウンドバータイプのスピーカーだろう。左右のチャンネルにそれぞれ3Way7ユニット(ツイーター1、スコーカー2、ウーファー4)および2つのパッシブラジエーターをプラスした構成で帯域ごとに個別のアンプで駆動する方式を採用しており、最大出力は合計80W/ch。開発はテクニクスのHi-Fiオーディオエンジニアが手がけた。なお、オプションの壁掛け金具「TY-WK5L1R」(3万円)を使用すれば壁掛け設置も可能だが、その際にもスピーカーは前方を向けて設置できる。

サウンドバー部の構造。チューニングはテクニクスのエンジニアが担当した
支柱の中にケーブルを通し、外観をすっきりさせた

 一方の「EZ950」シリーズは、「ヘキサクロマドライブPLUS」などのコア技術を上位モデルと共有しながら、暗部階調スムーサーおよびブラックフィルターを省略したモデルだ。スピーカーもパネル背面に大容量スピーカーボックスを設けた2Wayプラスパッシブラジエーターという構成になっている。

EZ950シリーズ。65V型と55V型の2サイズを用意

 操作性の面では、両シリーズに採用された「アレコレチャンネル」が新しい。リモコンの専用ボタンを押すと、「今見る」と「予約する」という目的別に一覧画面を表示し、「今見る」の場合は、放送中の番組や録画番組、VoDコンテンツが並ぶため、見たいコンテンツを素早く見つけられるという。「予約する」の場合は、ニュースやバラエティなど番組ジャンルごとにコンテンツを確認可能。気になるタレントや番組ジャンルを登録しておくと該当する番組を自動的に集める機能もある。

 さらに同社製Blu-ray Discレコーダー“DIGA”(ディーガ)シリーズの対応機種と組み合わせた場合、リモコンの番組表ボタンを押すと、新しい「過去未来番組表」が表示される。過去の番組表は録画一覧になっているため、画面を切り替えずに録画予約と番組再生の両方が行えるのがメリットだ。「(全録対応の)全自動ディーガと組み合わせると過去番組表が充実してさらに便利」(同社)。なお、番組表からの過去番組再生には「お部屋ジャンプリンク」の仕組みを利用するため、対応するディーガは2014年以降のネットワーク対応モデルとなっている。


 パナソニックでは、2シリーズの有機ELテレビを含む2017年薄型テレビ新製品を6月16日に発売する予定。価格はすべてオープンプライスだが、店頭ではTH-65EZ1000が90万円前後、65V型の「TH-65EZ950」は80万円前後、55V型の「TH-55EZ950」は50万円前後になる見込み。なお、パナソニックでは有機ELテレビ全モデルを日本設計、日本生産による「ジャパンプレミアム」シリーズとして展開する方針だ。

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