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映画館より明るくキレイ JVCの4Kプロジェクター「DLA-X990R」の魅力とは?(2/2 ページ)

» 2017年12月27日 20時31分 公開
[山本浩司ITmedia]
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試して分かった調整の勘どころ

 先述したUHD BDを再生して分かった調整の勘どころを記そう。まずピクチャートーンの設定。「再生コンテンツのFALLを見ながらピクチャートーンをこまめに調整することが肝要」と先に述べたが、ほぼすべてのソフトが0設定で問題なかった。これはとりもなおさずFALL(フレーム内平均最大輝度)が400nit前後の作品が多いということだろう。

ただし、ローライトに多くの情報が記録されているはずのHDRコンテンツなのに、思いの外暗部が沈んで見える作品が多く、「暗部補正」を+4〜5程度持ち上げると見通しのよい画質が得られることが分かった。また、ハイライトの階調をもっと精妙に描き出したいときは「明部階調」を−方向に動かせば良く、−1〜2設定で「カティア・ブニティアシヴィリ〜」の奏者の前に置かれた譜面がよりくっきり見えるようになり、その効果に驚かされた。

 カラープロファイルについては、明るさ重視の「HDR」設定が好ましかった。レンズアパーチャーの完成度は非常に高く、APL (平均輝度レベル)が大きく変化するシークエンスでも「オート1」設定で違和感を抱かせない。HDRコンテンツでは積極的に使うべきだろう。

それからMPCレベルの「グラフィックモード」はUHD BD再生時は4K設定が基本と思われるかもしれないが、ノイズ極小のソフトなら2K設定も面白い。視感度の高い周波数にエンハンスがかかるので、よりキリッとした画調に変貌するのである。

「鑑定士と顔のない依頼人」。国内版の販売元はハピネット。参考価格は5184円

それから積極的に使いたいと思ったのが、「ピュアダイレクト」モード。もともとはゲーム用途を想定して設けられた低遅延モードだが、UHD BD再生時も余計な回路を通らないため、いっそうヌケのよい画質が楽しめる(3D再生時とクリアモーションドライブ設定時は不可)。

 「シネマ」モードで見るSDR仕様のBlu-rayの画質もすばらしい。ぼくの肌色判定リファレンス・ソフト「鑑定士と顔のない依頼人」のシルヴィア・フークスの美しいスキントーンは、JVC の最新モデルならではの精妙さ。しばし見惚れてしまったことを告白しておきたい。

コスパ抜群の弟機「DLA-X590R」

 さて、弟機の「DLA-X590R」についても触れておこう。本機はDLA-X990Rに比べてワイヤーグリッドとレンズ性能に違いがあるようで、コントラストと明るさのスペックでDLA-X990Rの後塵を拝するが、「4K e-shift」テクノロジーはじめ映像信号処理回路は同一。先述したDLA-X990Rと同じような使いこなしでUHD BDの魅力が楽しめる。

「DLA-X590R」のブラック。価格はオープンプライス

明快なコントラストやホワイトバランスの精妙さなどは同価格帯の他社製品を凌ぐ魅力があり、DLA-X990Rの半額近い値段を考えると、これはたいへんなお買い得モデルと思う。

 それからもう1つ。2017年は「HDR適合スクリーン」をうたったゲイン2.7の「レイロドール」という製品がオーエスから登場、プロジェクターによるHDRコンテンツ観賞の可能性が大きく開かれたことにも注目したい。

オーエスの「レイロドール」はゲイン2.7。「HDR適合スクリーン」をうたう

 明るさが1500〜2000lmの家庭用プロジェクターでHDR コンテンツのよさを十全に楽しむには、「何も足さない何も引かない」を標榜したゲイン1.0 前後のマットスクリーンでは難しいと思っていただけに、このスクリーンの登場は興味深かったし、またそのHDR 表示能力の高さに瞠目させられた。

 DLA-X990Rと組み合わせてレイロドールの画質をチェックしてみたが、ピーク輝度がぐんと引き上げられるとともに、ハイライトの階調情報が精妙に描かれ、しかもハイゲインスクリーン特有のホットスポット(プロジェクターの光軸周辺のギラつき)が目立たず、黒もよく締まるのである。

 これは繊維で織り上げたマット系の幕面に、回帰性のビーズと反射性のパールという反射特性の異なる材料を一定の割合で攪拌(かくはん)・配合してコーティングする手法を採ったことによるメリット。UHD BDやNetflixなどのHDRコンテンツをスクリーン大画面で楽しみたいという方にぜひお勧めしたいと思う。

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