後輩育成、業務改善、職場活性化――中堅社員への要求増も、育成進まず
「後輩の育成」「業務改善」「目標達成への具体的計画」「職場活性化」「メンターとしての振る舞い」「的確な状況対応」――中堅社員に求められる役割は増えたが、肝心の育成が進んでないという。産能大総研の調査。
「後輩の育成」「業務改善」「目標達成への具体的計画」「職場活性化」「メンターとしての振る舞い」「的確な状況対応」――現在、こうした役割が入社5〜10年、20代後半から30代前半の中堅社員に求められている。産業能率大学総合研究所の調査でこんな結果が分かった。
調査によると、中堅社員に求める役割は「後輩の育成」が72.5%で最多。「自業務の改善」「目標達成への具体的計画」「職場の活性化」も5割を超えた。後輩のよき相談役としての「メンター的振る舞い」「的確な状況対応」を求める声も5割弱あったという。
産能大総研では「現在の中堅社員には、非常に幅広い役割が求められている」とコメント。従来型の階層別組織では、仕事のプロフェッショナルとして業務をしっかりと遂行することが「中堅社員」に求められていたが、最近では後輩の育成や職場の活性化、メンター的振る舞いなど、人への働きかけが求められるようになったという。「組織のフラット化や就職氷河期における採用絞り込みの影響によるいびつな人員構成など、組織環境の変化も影響していそうだ」
一方、求められた役割があまり遂行できていないという評価も。「後輩の育成」を「遂行している」との評価はわずか2.9%、「やや遂行している」と併せても3割程度にとどまった。
中堅社員の研修では従来型の「階層別の役割認識研修」が最も多く50.7%、これに「自己啓発支援」が47.8%で続く。「キャリア研修」「各種知識・スキル習得」は3割以下となった。制度面では「OJT制度」が55.1%だったが、「メンター制度」は23.2%、「プロジェクトリーダー制度」は7.2%だった。「各企業ともOJTを中心に中堅社員育成の仕組を整えてはいるものの、そこからさらに踏み込んだ取り組みはあまりないようである」(産能大総研)
今後の中堅社員育成について強化したいことは、「次世代リーダーの育成」が36.2%でトップ。27.5%で「組織風土改革」が続いた。
調査は、書面アンケートによる回答肢選択式で、2月10日に実施。中堅社員育成をテーマにしたフォーラム参加者(人事・教育担当者など)69人。
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