“スマートフォン主流時代”にどう取り組むか――NTTドコモ 辻村副社長に聞く(前編):新春インタビュー(3/3 ページ)
モバイルIT業界のトレンドが「スマートフォン中心」にシフトする中、国内の約半数の携帯電話ユーザーを擁するNTTドコモは、業界をどうリードしていくのか。代表取締役副社長の辻村清行氏に、2011年を振り返っていただきつつ、2012年の展望を聞いた。
重要なのは“一般層向けのカスタマイゼーション”
―― 今後のスマートデバイスのプラットフォームについてなのですが、ドコモは現在、主力のプラットフォームがAndroidに偏重しています。一方で、ライバルのKDDIは昨年iPhone 4SやWindows Phone IS12Tを導入して、Androidだけでなく、iOSとWindows Phoneのマルチプラットフォーム化が実現しています。またソフトバンクモバイルは実質的にはiPhone偏重ですが、プラットフォームで見れば、iOSとAndroidを擁しているわけです。
ドコモだけがAndroidにかなり偏ったプラットフォーム戦略を取っているわけですが、この点は2012年度に変わっていくのでしょうか。
辻村氏 私どもの基本的な考え方は、「お客様が使いやすいカスタマイゼーションがいかにできるか」という部分にあります。今のスマートフォンの売れ行きを見ていても、日本市場に最適化された“全部入り”は強い。おサイフケータイや赤外線通信、ワンセグといった(日本市場のニーズの)部分は大多数のお客様に求められているのです。
ですから、そういった日本市場向けの最適化がしっかりとできるのであれば、iOSやWindows Phoneを我々が拒否するところではない。そう考えています。
―― これまでケータイを使っていたような、日本の“普通のお客様が困らないこと”が大切なわけですね。すべては無理でも、日本市場をどれだけ尊重できるかが求められる、と。
辻村氏 可能性でいえば、Windows Phoneの方が自由度が高く、そういったこと(日本市場への最適化)が早く起こると予測しています。逆にAppleのiOSでは、おサイフケータイ用のモバイルFeliCaチップを搭載したり、我々のエリアメールに対応させたりというのが難しいと思いますので。
―― Appleの姿勢では、ハードウェアレベルのローカライズは難しいでしょうね。
辻村氏 ええ。ですから、まずはマイクロソフトと協議して、ドコモのお客様に満足していただける範囲でカスタマイズができるということであれば、Windows Phoneの導入は進めていきたいと思っています。
―― AppleのiOSも独自に緊急地震速報に対応したりと、日本市場のニーズに“ソフトウェアで応えられる範囲で応える”という形で配慮しています。しかし、このローカライズがもう一歩踏み込んだ形で行われないと、ドコモとしては受け入れられませんか。
辻村氏 そうですね。以前から弊社の山田(隆持代表取締役社長)が申しているとおり、iPhoneやiPadはとても魅力的なデザインやUIを持っており、とても興味は持っています。しかし、日本向けのカスタマイズができないとなると、どうしても“品ぞろえの1つ”としてしか扱えないとも考えています。
―― ドコモの顧客基盤の厚さや裾野の広さを鑑みれば、ソフトバンクモバイルのような「販売の大半がiPhone/iPad」という状況は難しいわけですね。カスタマイゼーションができない状態では、主力のプラットフォームとしては扱いにくい、と。
辻村氏 ええ。iPhoneとiPadをドコモが軽視しているわけではありません。興味はあります。ですが、今の状況では(取り扱う)予定はありません。
―― となると、Androidと並ぶドコモの主力プラットフォーム候補としては、先にマイクロソフトのWindows Phoneがくるわけですね。ここはWindows 8での展開が予定されているタブレットも同じくですか。
辻村氏 そうです。特に法人市場ではWindowsベースのタブレットに対する期待は大きいので、積極的に取り組んでいきます。
(後編へ続く)
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