第4回 テザリングの使い勝手は? SIMロック解除は可能?――「ARROWS X LTE F-05D」:「ARROWS X LTE F-05D」の“ここ”が知りたい
前回は“電話機”としての使い勝手に迫った「ARROWS X LTE F-05D」だが、スマートフォンとしては多様な通信面の使い勝手も大切。今回は、前回触れられなかったアドレス帳とテザリング機能を中心に見ていく。
- →第1回 通信は本当にサクサク? バッテリーの持ちは?――「ARROWS X LTE F-05D」
- →第2回 水に濡れてもタッチパネルは使える?――「ARROWS X LTE F-05D」
- →第3回 “電話機”としての使い勝手はどう?――「ARROWS X LTE F-05D」
質問:ダイヤラーやアドレス帳はどんな感じ?
第3回では「ARROWS X LTE F-05D」の電話機としての使い勝手を調べてみたが、肝心の電話をかけるための「ダイヤラー」と「アドレス帳」(連絡先)についても、あらためて調べてた。
ARROWS X LTEでは、一部機種を除きメーカーを横断して導入が始まったドコモ共通のダイヤラーとアドレス帳が採用されている。ドコモが提供する「spモードメール」や「声の宅配便」などのサービスと連携しやすいのが特徴だ。従来のiモードケータイを使っていたユーザーがスマートフォンで戸惑いやすい、自分の電話番号(マイプロフィール)の表示を簡単にできるよう工夫されている。ただ、通話中に出すキーパッドにちぐはぐ感があったり、履歴の一括削除がアプリ上では不可能だったりと、使い勝手の面では発展途上段階である印象だ。ソフトウェアの更新である程度改善されることを期待したい。
質問:テザリングの使い勝手はどう?
ドコモのAndroidスマートフォンでは例外なく使えるようになったテザリングは、Android OS標準の機能を用いているモデルが多いが、キャリアやメーカーの措置によって使い勝手が大きく変わってしまうことがある。
ARROWS Xの場合、USB接続と無線LAN(Wi-Fi)によるテザリングに対応している。いずれも設定画面の「無線とネットワーク」の中のUSBテザリングは仮想ネットワークカードとしてPCに接続することになる。Windows Vista/7にはOSに標準で仮想ネットワークドライバが備わっているため、別途ソフトウェアを用意することなく利用可能だ。Windows XP(Service Pack 2以降)の場合は、富士通のWebサイト(外部リンク)から別途仮想ネットワークドライバーをダウンロード、インストールした上で接続すればよい。USBテザリングの注意点は、事前にWi-Fiをオフにしておくことだ。そうしないと、テザリングの通信が正常に行えない。自動では切れないので注意しよう。
Wi-Fiテザリングでは、最大8台の無線LAN機器を同時に接続できる。AndroidスマートフォンのWi-Fiテザリングの場合、セキュリティ設定がWPA2(あるいはそれに加えてWPA)しか選べない場合も多いが、ARROWS XではWEPでも接続できる(暗号化は64bit、128bit両方に対応)。WEPにしか対応していない無線LAN機器(ニンテンドーDSなど)でインターネット接続が必要になった場合は役に立つだろう。メーカーごとに異なる無線LAN設定の簡易設定は、バッファローが推進しているAOSSや、Wi-Fi Associationが推進しているWPS(Wi-Fi Protected Setup)に対応している。後者はPIN(暗証番号)方式とプッシュボタン方式の両方を使える。
なお、Wi-Fiテザリングのオン/オフは設定画面に移らずに通知画面でも設定できる。タップして、テザリング時の注意事項を読んだ後にOKをタップすればWi-Fiテザリングが準備される。Wi-Fiテザリングをオンにした際にクライアント接続が有効だと自動的に無効となり、テザリングが終了すると自動的に元の状態に戻る。
USBテザリングとWi-Fiテザリングは同時に有効にできる。これを利用すれば、理論上はUSB接続1台に無線LAN接続8台と、最大9台までのテザリングが可能となる。
ここで少しドコモのスマートフォン事情に詳しい読者の皆さんが気になるのが、FOMAのAndroidスマートフォンでは、テザリング時に強制的にspモード加入者のみ使えるテザリング専用アクセスポイント(APN)につなぎ変えてしまう仕様が、Xi対応のARROWS Xでも健在なのかという点だ。残念ながらこの仕様は健在だ。テザリングを有効にすると、今まで利用していたアクセスポイントとの接続を切断し、ユーザーが自由に設定できないspモード加入者専用のテザリングアクセスポイントにつなぎ直すようになっている。テザリングを無効にすると自動的に元の設定に戻る。また、テザリング時にアクセスポイントを変えようとしても、設定項目そのものがグレーアウトして設定できなくなってしまう。
「Xiパケ・ホーダイ」を契約すると、mopera UをはじめとするXi対応のアクセスポイントであれば一律同じ上限額で使えるはずなのに、このような仕様にしてしまったことは、いささか疑問である。この仕様はその他のXiスマートフォンも共通で、メーカーではなくドコモの都合のためであると思われる。改善を期待したい。
質問:SIMロックの解除には対応している?
ドコモの携帯電話は、2011年4月以降に発売されたものについて、原則として別途手数料(3150円)を支払うことで、どの携帯電話事業者のSIMカードでも使えるようにする「SIMロック解除」に対応している。ARROWS Xについても同様で、ドコモショップに行って手数料を支払った上で所定の処理をすることで、SIMロックが解除される。解除されているかどうかは、設定画面から確認できる。メニューの「端末情報」にある「端末の状態」をタップし、画面の一番下にある「SIMロック状態」が「SIMロック解除」になっていれば解除された状態だ。
SIMロック解除後、手持ちで唯一、契約が有効なmicroSIMである、ソフトバンクモバイルのiPhone 4/4S用「マイクロUSIMカード(A)」を挿してみた。すると、ロック解除前は認識すらしなかったカードが認識したものの、どうしても電波をつかめる状態にはならなかった。なお、ドコモのSIMロック解除端末の動作状況一覧(外部リンク)によると、ARROWS X LTEにソフトバンク端末のSIMカードを挿しての通話・SMS通信実績はあるので、iPhone以外のSIMカードなら利用できる可能性が高そうだ。
端末としては、900/1800/1900MHz帯のGSM、800/2100MHzのW-CDMAに対応しており、該当周波数帯を利用している通信事業者のmicroIMカードを入れて、しかるべき設定を行えば通信可能になるはずだ。
関連キーワード
ARROWS X LTE F-05D | モバイルルータ | テザリング | ARROWS | Wi-Fi | SIMロック | LTE(Long Term Evolution) | 画面 | USB | NTTドコモ 2011年度冬春モデル | NTTドコモ | SIMカード | SIMロックフリー | Android | アドレス帳 | 無線LAN | spモード | Xi(クロッシィ) | iPhone | AOSS | 暗号化 | SMS | WEP(Wired Equivalent Privacy) | Windows | WPA(Wi-Fi Protected Access) | WPS | 128ビット | 64ビット | バッファロー | FOMA | 周波数 | mopera U | Windows Vista | Windows XP
関連記事
「ARROWS X LTE F-05D」の“ここ”が知りたい:第3回 “電話機”としての使い勝手はどう?――「ARROWS X LTE F-05D」
「ARROWS X LTE F-05D」は、スマートフォンでは軽視されがちな、音声通話機能にも力を入れている。今回は、本機の「電話機」としての機能や性能に迫った。「ARROWS X LTE F-05D」の“ここ”が知りたい:第2回 水に濡れてもタッチパネルは使える?――「ARROWS X LTE F-05D」
「ARROWS X LTE F-05D」は、LTEスマートフォンとしては初めての防水対応機。その性能維持のために卓上ホルダを同梱しているが、ケースに入れたまま使えるのだろうか。水に濡れたときの操作感と合わせてチェックしてみた。「ARROWS X LTE F-05D」の“ここ”が知りたい:第1回 通信は本当にサクサク? バッテリーの持ちは?――「ARROWS X LTE F-05D」
発売当初から入手困難なほど注目を集めている「ARROWS X LTE F-05D」は、LTE対応で高速・高レスポンス通信が可能になったことが魅力の1つ。通信はどれだけ速いのか。気になるバッテリーの減りは――。これら2点を調べた。荻窪圭のケータイカメラでこう遊べ:基本的な画質はかなり良い、ただし“ゴースト”に注意――「ARROWS X LTE F-05D」
“全部入り”スマートフォンの「ARROWS X LTE F-05D」は、カメラにソニー製の裏面照射型CMOSセンサーを採用しているのも注目すべきポイントだ。富士通伝統の撮影機能や画質を見ていこう。外観、スペック、速度の違いは?――「ARROWS X LTE」と「ARROWS Z」を比較する
秋冬モデルの“全部入り”として注目を集めているドコモの「ARROWS X LTE F-05D」とauの「ARROWS Z ISW11F」。兄弟機ともいえる2モデルにはどんな違いがあるのか。外観やスペック、そして気になる動作・通信速度を調べた。写真で解説する「ARROWS X LTE F-05D」
ドコモ冬春モデルの中でも特に多くのサービスに対応し、高いスペックを誇る富士通製の「ARROWS X LTE F-05D」。外観、ユーザーインタフェース、主な機能を見ていこう。価格は?:「ARROWS X LTE」「ARROWS Z」発売 予約しても入荷待ち、当日販売分なしの店舗も
冬スマホのフラグシップモデル「ARROWS X LTE F-05D」と「ARROWS Z ISW11F」が12月17日に発売された。注目機種だけあり、予約分に初回入荷が追いついていない店舗が多いようだ。Xi対応のほぼ全部入りスマホ「ARROWS X LTE F-05D」も12月17日発売
NTTドコモが、Xiに対応した初の国内メーカー製Androidスマートフォン「ARROWS X LTE F-05D」を12月17日に発売する。写真で解説する「REGZA Phone T-01D」
ドコモwithシリーズに属する富士通製の「REGZA Phone T-01D」は、Xi非対応であることを除けば基本性能は「ARROWS X LTE F-05D」と同等。T-01Dならではの機能として、指紋センサーやモバイルレグザエンジン5.0を備えた。Xi対応、6.7ミリ、女性向け、そしてREGZA Phone:「ARROWS」で国内トップシェアを目指す富士通
富士通は、ドコモの2011年度冬春向け新製品7機種9モデルの商品説明会を開催した。ARROWSブランドのスマートフォンを本格展開するほか、iモードケータイも全部入りや女性向けなど、ユーザーニーズにマッチしたラインアップを用意した。NEXTシリーズ:Xi対応、ハイスペック&スリムな防水スマートフォン――「ARROWS X LTE F-05D」
富士通のARROWSブランドを冠する「ARROWS X LTE F-05D」は、Xiに対応するハイスペックなスマートフォン。防水、ワンセグ、おサイフケータイなど日本向け機能やサービスはもちろん、デュアルコアCPUやHD液晶など最先端の機能を盛り込んだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.