RFIDは“ビッグブラザー”を実現する?(2/2 ページ)

» 2004年03月25日 14時38分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
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法整備の必要性

 法制度の整備については、関係者全員が「対応が急がれる」で意見が一致。ただタンジェンス氏は、「法は新しい技術をカバーできない。各法の更新と、技術の中立的な検証を求める」とも話した。

 法の整備についてはカルダーバンク氏が、CCTVカメラ(Closed Circuit TV:監視カメラ)という先例を挙げた。CCTVが登場した当初も、ネガティブな面が強調された。その後、英国では5年後に法が制定され、CCTVによる監視を行っている店舗は、監視していることを掲示することが義務づけられた。この結果、多くの人がCCTVを受け容れるようになった、とカルダーバンク氏は主張する。「RFIDもこの例に従うことを願う」(カルダーバンク氏)。

 またカルダーバンク氏は、データについて共有可能なものとそうでないものを分けるという観点から、法という仲裁役の登場が望まれるとも言う。「同じ薬局で購入する製品でも、バイアグラと歯磨き粉では購入時の意識が違う。製品によってはRFIDの取り付けを規制したり禁止するなどの対応も必要だろう」。

 タンジェンス氏は、法制定に求められることとして、透明性やオープン性、(どうしてRFIDを実装しているのかの)意図の明示、収集データの利用の制限、企業の責任の明確化やペナルティなど、データが漏洩しないよう義務づけることなどを挙げた。

 RSAは昨年RFIDブロック技術を開発し、今年2月のカンファレンス「RSA Conference 2004」では、「RSA Blocker Tag」としてプロトタイプを披露。今回の「CeBIT」でも展示していた。「私自身、プライバシーを気にする」というRSAのコビエロ氏は、「プライバシーを新しい技術で保護する」と述べ、“技術を技術で解決する”という方向性を示した。

 「インターネット以前とその後を想像してみると明らかなように、後戻りは間違っている。必要なのは、コンシューマー、市民、政府、ベンダー、メーカーの協力関係だ。各サイドが等しく責任感を持たなければならない」(コビエロ氏)。市民は自分の権利を主張しなければならないし、技術を理解しなければならないということだ。

 タンジェンス氏は「われわれはRFIDにも反対していないし、SCMにも反対していない。アンチ技術団体でもないし、イノベーションに反対しているわけでもない。だが、市民にマーケティング的ではなく中立的な情報を与えることが必要と考える」と述べる。「データがその後、別の目的で使われる可能性があることを、顧客は本当に知っているのだろうか?」。

 タンジェンス氏は、Metroが系列店で行ったRFIDトライアルで、顧客に知らせずに顧客カードに年齢情報などを入力したRFIDを組み込み、店舗内での顧客の行動情報を収集していたことや、商品に付けたRFID価格タグの中には、店舗を出た後もアクティベートされたままだったものが一部あったという事例を挙げた。Metro側は、“情報を収集するだけだった”と、活用の意図はなかったと弁明したという。その後Metroは、消費者団体らの圧力に屈して、不誠実なトライアルを行った店舗でのトライアルを中止している。

 「小売店が自ら顧客のプライバシーを守ることはありえない。必要に迫られないと対応しない」と述べて、「市民が十分な情報を得て、法制度など行政側の仕組みが整い、全体の一致を見るまでは実装しないでほしい」と訴えた。

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