携帯電話にFeliCaチップを入れ込み、日本発の技術で世界をリードすることを目指すフェリカネットワークス(6月17日の記事参照)。フェリカネットワークスの河内聡一社長が8月26日、mobidec 2004でモバイルFeliCaの可能性を話した。
フェリカネットワークスは、携帯電話に搭載するFeliCaチップをライセンスする企業。ソニー、ドコモなどが出資している。現在、FeliCaチップはドコモ端末に搭載され、“iモードFeliCa端末”として販売されている。
FeliCa内蔵携帯について、河内社長が挙げたキーワードは「ポイントからチェーンへ」だ。
FeliCa携帯を読み取り機にタッチすると、「情報を瞬時にやりとりすることがポイント」。そこにとどまらず、「情報をどう料理するかがチェーン」だと河内氏は説明する。つまり、タッチで終わらず次の行動にユーザーを誘う、リアルの世界でのユーザーの行動をCRMに結びつけることを指す。
今のところ、FeliCa携帯は“ポイント”の部分だけが利用されている。今後、“チェーン”の部分をどう活用するかが、FeliCa携帯の真の価値を引き出すと河内氏は見る。
河内氏が挙げた“チェーン”の例をいくつか見てみよう。
例えば、店舗の会員証を考えてみよう。FeliCa携帯のユーザーが量販店でプリンターを買ったとする。「モバイルFeliCaは、リーダー/ライターからの信号でアプリを立ち上げることもできる。このアプリ起動を使うと、ユーザーの“買い物をした”という情報を元に、用紙やインクなどお買い得情報などを携帯の画面に表示できる」(河内氏)。
携帯向けのCRMというと、会員向けのメール配信サービスなどが有名だが、「プッシュメールで気になるのは、寝ている最中や重要な会議中に突然やってくること。リアルな“かざす”なら、本当にその人にとって必要な情報を厳選して、リアルタイムで出せる」(同)。
別の例として飲料などの自動販売機がある。「FeliCaのIDを利用して、この人はこの場所でこれくらいの頻度でこの飲み物を買うという情報が手に入る」。さらに電子マネーであれば、季節や気候、時間帯によってフレキシブルに販売価格を変えることも可能だと、メリットを話した。
飲食店ではどうか。お昼時など列ができるような喫茶店では、高速道路でいうETCレーンのような「FastTrack」の発想が使えると説く。「あらかじめ携帯のアプリ上でオーダーしておいて、店舗では携帯をかざすだけで、オーダーも決済もすむようにしておく。そうすれば、現金客と(別の列を設けるなど)大きな差別化を図れるのではないか」
iモードによってサイバーな世界での携帯電話は、ある意味完璧な存在になったと河内氏。これからはリアルとの間でどう架け橋を造っていくかだと話す。「リアルとうまく架け橋できて初めて、本当の意味でエージェント/コンシェルジェのサービスができるのではなだろうか」。
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