携帯の有害サイト、若年層に非表示にするには?

» 2004年11月09日 23時38分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 「ネットは、場合によっては子供に有害」という意識が広まっている。PCインターネットの世界ではアダルトフィルタ機能の知名度が上がりつつあるが、携帯ではどうだろうか。

 既報のとおり、マイクロソフトは携帯電話向け検索サービス「MSNモバイルサーチ」の検索結果表示ガイドラインを改訂した。従来もアダルト系サイトは非表示にしていたが、自殺の仲間を求めるサイトや爆弾の作り方を紹介するサイト、テロ行為を促すサイトなども非表示の対象に含めた。

 同社は携帯サイトとして7万件のデータベースを持っているが、この中から問題となるサイトを随時削除する。「最近では、ネットをきっかけにトラブルが起きる事件が頻発していることから、アダルトコンテンツの規制だけではまずいのではとの声が社内で上がった」(マイクロソフト広報)。

 携帯ユーザーは、PCユーザーと比べ年齢層が若いという問題もあり、自主的に規制することに決めたという。

より“有害”になる携帯サイト

 携帯電話は、確実にリッチコンテンツを表示できるメディアへと進化を遂げつつある。アダルトコンテンツひとつをとってみても、QVGAクオリティの高精細な画像が表示可能で、iモード草創期の「モノクロヌード写真」の時代からは隔世の感がある。

 通信インフラも整備されており、たとえば動画で残虐な映像を表示する……ということも可能になってきた。テキストベースの出会い系サイトはいうに及ばず、各種の有害サイトが「より影響力を持った有害なサイト」に発展するだけの素地はある。

 キャリアが管理する公式サイトは、ある程度歯止めがかかっている(一部キャリアにはけっこう過激なサイトも存在するのだが……)。問題は、過激な勝手サイトに若年層がアクセスしないようにする方法だ。

 MSNモバイルサーチのような、PCプラットフォームで携帯サイトを検索するルートをふさぐことは、1つの対策だろう。インターネットコムとインフォプラントが携帯サイトユーザー300人を対象に2003年4月に行った調査によると、携帯サイトをどこで発見するかとの問いに56%が「PCで検索する」と回答した。これは「公式メニュー」の40%、「携帯で検索」の26%を上回っている。

 同様のPC向け携帯サイト検索サービス「Yahoo!モバイル」を提供するヤフーは、サーファーがカテゴイズする検索サービスと、ロボットが検索するサービスとを提供している。

 「サーファーのほうは、有害なサイトを除外して登録している。ロボットのほうは、そうしたサイトが極力表示されないよう、見つけ次第削除を行っている」(ヤフー広報)など、やはり一定の規制を行っているようだ。

 gooモバイルでも、携帯サイト検索が可能。こちらは検索時に「アダルトフィルタ」をオンにすれば「数千におよぶ『有害ワード』データを持っており、これを複数掲載するサイトは有害とみなす」(NTTレゾナント)仕組みで、検索結果から表示を除外できる。もっとも、gooのトップページのように「非表示設定を保存」することまではできないようだ。

勝手サイトの誘惑

 当然ながら、上記の検索サービスでの対策をどれだけ強化したところで、若年層が有害サイトに触れる機会がなくなるわけではない。例えば、迷惑メールだ。無差別に届けられるURLをクリックして、直リンクで飛んでしまえばアクセスを止めようがない。

 フルブラウザ携帯の登場も、状況を複雑にするかもしれない。文字通りオープンな「インターネット」環境に携帯がつながるようになれば、それこそアンダーグラウンドな世界にうごめく雑多なコンテンツにアクセス可能になる。

 これらを制御しようと思えば、キャリアが提供するアクセス制限機能(8月21日の記事参照)を利用するという手もある。公式サイトのみアクセス可能にして、勝手サイトには一切接続できなくするものだが、この場合は無害なサイトまで一律に排除してしまうというきらいもある。

 携帯による有害サイトのアクセスは、小学生でも携帯を使うようになった日本だからこそ深刻度を増している。事業者、ユーザーともどもフィルタリングの意識を高めたいものだ。

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