高速“非接点”充電器でデファクト目指す──SplashpowerCEATEC JAPAN 2005

» 2005年10月07日 01時02分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 “飛び散る電力”──Splashpowerという名前の企業が日本に上陸した。同社は、ポータブル機器向けの“非接点”充電器の分野で、デファクトスタンダードを目指している。

同社CEOのLily Cheng氏。手に持っているのは、非接点充電器と、P900iに取り付けたレシーバー

 非接点充電器というのは、コネクタをはめることなく近づけるだけで電力を供給し、バッテリーを充電できる機器のことだ。ひげ剃り器などに使われているほか、国内でもPHSが採用している。

 しかし携帯電話などへの採用が少なかったのは、仕組み上充電に時間がかかっていたからだ。「従来の技術では電力効率に制限があった。Splashpowerの技術を使えばプラグインパワー(コネクタで接続)と同じ効率で充電できる」と、同社CEOのLily Cheng氏。iPod miniや、「P901i」を充電するデモンストレーションをCEATEC会場で披露していたが、携帯電話の充電ならば約90分と、コネクタを接続した場合と遜色ない。

 技術的なポイントは磁界の構造にある。非接触充電器はいずれもコイルを使って磁界を発生させ、磁界に乗せて電力を送る。受け取る側もコイルを使う。「従来の技術では、磁界が上のほうに出ていた。そのため、薄いものには電力をチャージできなかったり、複数のものを同時に充電するのは難しかった。Splashpowerの技術では、表面に平行に流れるように出てくる。細いものや複数への充電も可能だ」(Lily氏)

iPod miniにアダプタを取り付け、充電器の上に置くだけで充電が始まる。ホテルチェーンに納入し、ホテルのテーブル自体を充電器として使う──という構想も持っている

 携帯電話やiPodなどのポータブルデバイスへの充電をターゲットとしており、「将来的には小型ノートPCへの充電もやりたい」とする。2006年に製品化を完了し、まず外付けアダプタの形で欧州マーケットに投入。日本向けには、デジカメと携帯電話をターゲットに、内蔵化を検討している。

 コンシューマ向けに売り出すアダプタタイプの価格は、大型のものが150〜200ドル。小型のものが30〜40ドル。iPod用のアダプタは15〜20ドル程度を想定しているという。

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