NTTが民放を買収する……そんなシナリオはあるかモバイル編集部、ただいま取材中

» 2005年11月18日 04時55分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 今日、朝日新聞を見たらNTTの和田紀夫社長による「テレビ局への出資もあり得る」というコメントが掲載されていた。前後のつながりが分からないが(いわゆる“記者に誘い出された”コメントだったかもしれない)、NTTが放送局への出資に言及するというのは、それなりにインパクトがある。

 ここで思い出すのが、某通信事業者のCFOとの記者懇親会での会話だ。アルコールが入った席ではあるが、そのCFOはNTTがいかに体力の大きい企業か……ということを面白おかしく、そしてなかばあきれぎみに話していた。

 「国が設立した企業であり、膨大な資産がある。制限がないのなら、どんどんほかの企業を買収していけばいい。民放のキー局を、まるごと買収することだって可能だ。NTTが研究している『通信と放送の融合』にしたって、それで一発で解決だ」(笑)。ちなみに、この記者懇親会が開かれたのは2004年11月のこと。ライブドアがニッポン放送株取得に動いて大きな注目を浴びたのは、年が開けて2005年のことだった。

 いま、世間を騒がせているのは楽天のTBS買収劇だが、ライブドアにしても楽天にしても「買収の資金をいかに調達するのか/したか」が重要なポイントになっている。つまるところ、彼らはやや背伸びをして買収資金を調達しているからだ。しかし通信業界の巨象、NTTが動いた場合は、少々状況が異なる。時価総額も売上高も何兆円という単位の彼らのこと、動かせる金額は楽天とは比べものにならないだろう。

 個人的には、“NTT法で縛られたNTT”という組織に同情する部分もある。言ってしまえば「勝つだけで逆風をあびる」企業であり、何か勝利に向けた動きをすると「独占事業者が何をするか」と批判を浴びる。現場の人間にとっては、つらいものがあるだろう。

 ただ、NTTがライブドアや楽天よろしく買収、買収に動いていけば、ライバルを根こそぎつぶすことができるのも事実。NTTが放送局と資本提携、さらに買収へと突き進むようなことがあれば、批判は避けられないし、メディアとしてもそうした声を拾い上げて記事化せざるをえないだろうと思う。

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