ようやく3Gビジネスが見えてきた──NECの海外戦略:3GSM World Congress 2006

» 2006年02月20日 20時36分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 日本の端末メーカーの苦戦が伝えられている海外端末市場。こうした状況の中、海外市場向けの端末にも注力しているNECが欧州の端末市場の動向をどのようにとらえているのか、どんな端末を投入する計画なのかをNECモバイルターミナル事業本部営業主幹の折笠裕己氏に聞いた。

3GSMのNECブースでは同社初のUMTS/GSM端末「e636」を展示

欧州の3G、2006年がターニングポイントに

 2006年の欧州における携帯電話市場のトレンドは、NECにとっていい方向に向かっていると折笠氏。理由は欧州でも3Gが本格的に立ち上がりつつあるからだ。

 「GSMの世界は、新参者が入っていくのが難しい市場で、元々勝負したいと思っていたのは3Gのビジネス。欧州では、もう少し早く3Gのビジネスが立ち上がると思っていたが意外と遅く、ようやく2006年に入って3Gがビジネスになりそうな兆しが出てきた」。最近入ってくる案件には具体的なサービスインの日程も含むものが出てきているなど、3Gの立ち上がりについては手応えを感じているという。

 また、従来3Gの約10倍もの下り通信速度をサポートするHSDPAサービスの提供がようやく現実的になってきた点も、欧州3Gの普及を後押しすると見ている。同社は3GSMのブースで下りのデータ転送速度が最大3.6Mbpsというカテゴリー6対応のHSDPA端末を使ったデモを行い、他メーカーに対する優位性をアピールした。

3.6Mbps対応のHSDPAと従来3Gの384Kbpsの速度を比べるデモを実施

 「大きな画面がないと、HSDPAサービスを提供しても差別化できない。“我々のサービスに合うような大画面の端末をつくってほしい、音楽機能が充実した端末を作ってほしい”というように要求が変わってきている」

 GSM/UMTSのデュアルネットワーク端末が主流の欧州では、日本より自然な形で3Gへの移行が進むと予想されるが、エンドユーザーにまで3Gが普及するには、まだ少し時間がかかるだろうと折笠氏。「3Gのカバレッジを早く広げて、オペレーターの収益がそれに伴って増えれば3Gの普及も促進される。そのためには通信キャリアとコンテンツプロバイダがどれだけ面白いコンテンツを提供できるかが重要になる」

ローエンドモデルは投入しない

 NECではこうした通信オペレーター案件への対応を軸としたミッドレンジからハイエンド向けの3G端末を開発する計画で、ローエンドモデルの投入は考えていないという。

 ローエンドモデルの投入は、一定のプラットフォームを使った標準的な端末をメーカーが開発・販売する「小売りモデル」を展開する上ではブランド訴求などの点で有効に働くが、参入メーカーの増加による値崩れなど、収益を圧迫するリスクも伴う。NECではボリュームを追いかけて安い端末を出すことはしない考えだ。

 こうした戦略の背景にあるのは、欧州でもキャリアがサービスや端末の仕様を決めるビジネスモデルが増える傾向にあることだと折笠氏は説明する。

 「通信キャリア同士の競争が激化しており、キャリアがコンテンツやサービスを導入して他キャリアに勝とうとする際には、ハイエンド端末が差別化要因になる。自社で展開するサービスに合った端末を開発してくれるメーカーから端末を買うという流れがあり、キャリア案件への対応で実績がある我々にとってはいい流れだと思う」

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